「住む人のためにデザイン性にこだわりたい」という住宅メーカー・工務店が増えています。
デザイン性に配慮しながら、本来の軒裏換気性能や防火性能にもこだわった日本住環境の軒裏換気部材の選び方をまとめてみました。
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ノイズレスなデザインが流行
軒の出がないノイズレスなデザインが住宅で流行中
ここ数年、「ノイズレスなデザイン」が流行しています。
これは無駄な線や面がなく、凸凹の少ないシンプルなスタイルを指します。
フラットなデザインのサイディング、ドアノブを排した自動開閉する玄関ドア、室内では取っ手のないフラットなドアを使ったシステム収納など。
この「凸凹をなるべく小さくしたい」という観点から住宅の軒まわりも「軒ゼロ」タイプのデザイン処理が増えています。
昔なら勾配屋根で軒を3尺突き出していた「軒アリ」スタイルが、今はフラットな陸屋根で軒の出が限りなくゼロに近い寸法に。
「軒アリ」スタイルの住宅
こうした仕様は「お客様のご要望」「お客様が喜ぶ」ということで始められた住宅メーカー・工務店が多いと思います。
家の耐久性や省エネ性をきちんと確保した上でデザインすることが大切です。
軒ゼロ住宅は小屋裏換気がやりづらい?
▲小屋裏換気が確保されていないと・・・
前回、軒裏(軒天)換気は「住宅の小屋裏環境を良好に保つ小屋裏換気用部材として欠かせない」と書きました。
住宅の軒裏換気とは?小屋裏の結露や温度上昇を防ぐ仕組みを解説
小屋裏環境を良好に保てば、小屋裏内の熱だまりを軽減できます。
さらに結露防止や寒冷地ではつらら、すがもれ対策になります。
この効果によって住宅の耐久性や省エネ性が向上します。
しかしながら小屋裏換気は軒裏部分に十分な換気孔面積をとる必要がありますが、デザインを優先した軒ゼロ住宅ではこの換気孔面積が小さくなりがちです。
また軒の出の少ない軒ゼロ住宅は雨が外壁にかかる量(雨掛かり)が増えることで
雨漏りのリスクも高くなってしまいます
ではどうすればこのような問題点が解決できるのでしょうか?
小屋裏換気を確保することで住環境が向上
日本住環境のさまざまな軒裏換気材
そこで、日本住環境では軒ゼロ・軒アリ・防火・非防火など様々な用途に対応した15種類もの軒裏(軒天)換気部材を開発・販売しています。
・軒アリ住宅
・軒ゼロ住宅
・非防火地域用
・準耐火構造認定30分(軒裏)対応
・準耐火構造認定45分(軒裏)対応
・準耐火構造認定60分(軒裏)対応
など、ありとあらゆるニーズにお応えできます。
ここで注目したいのが防火対応。
日本では大きく分けて4つの防火規制の区分があり、家を建てる土地がどれに属しているかによって選べる軒裏(軒天)換気材が変わってきます。
防火規制の概念図
まず、最も厳しいのが市街中心部や駅前などに多い「防火地域」
都市計画法第9条21項で「市街地における火災の危険を防除するため定める地域」として延床面積が100㎡を超えるか、3階建て以上かどちらかが当てはまれば原則として「耐火建築物」でなければなりません。
ただ、こうした繁華街に木造の戸建住宅が建つ可能性は低く、どちらかというと商業施設やビルなどが建てられることが多いです。
次に厳しいのが「準防火地域」です。
防火地域の外側にあり、建物が密集して火災が発生した場合に危険となる地域として防火地域に次いで厳しい規制があります。
駅から徒歩圏内の住宅などは、こうした準防火地域に指定されているところがあります。
続いて「法22条地域」。防火地域及び準防火地域以外の地域について特定行政庁が指定する区域です。
広域的に防火対策を進めるため建築物の屋根を不燃材料でつくるまたはふくこと等を義務づけており、都市計画区域内ではほとんどが対象になります。
※特定行政庁とは、人口25万人以上の都市を指します。建築主事を置き、確認申請の是非などを判断
します。人口25万人以下でも「限定特定行政庁」として権限を持つ自治体もあります。また、特定行政庁や限定特定行政庁に指定されない自治体の場合は、属している都道府県が特定行政庁となって建築主事を置きます
上記3つの地域以外は「無指定地域」と呼ばれ、防火規制は一部の建物を除いてありません。
日本住環境の軒裏換気部材の紹介
さて、ひととおりの説明が終わったところで、シチュエーション別に当社のおすすめ製品をご紹介したいと思います。
狭小地の軒ゼロ住宅ではどれを選ぶ?
▲狭小地の住宅は軒ゼロタイプの家が多い
狭小地は建物を敷地ギリギリに建てるため、隣家との距離が取りづらくなります。
そうすると防火規制にもかかりやすくなります。
軒の出がほとんどない軒ゼロ住宅は、こうした立地にぴったりです。
特に軒の出がとれない場合、極力軒の出を抑えてフラットなデザインにしたい場合は「ep軒ゼロ45SⅡ」がおすすめです。
▲ep軒ゼロ45SⅡ
「ep軒ゼロ45SⅡ」は、3つのS「スリム」「シャープ」「スタイリッシュ」をコンセプトにした軒裏換気部材「ep45軒ゼロS」の進化版。
防水パッキンを内蔵し、施工時はシーリング不要。
さらに製品本体も約3割軽量化し、施工性が向上しました。
準耐火構造45分に対応しており、防火地域なら100㎡以下の2階建て住宅に対応。
準防火地域なら500㎡までの3階建て住宅に対応します。
▲ep45軒ゼロSIIは、破風を省略できる
ep45軒ゼロSIIは軒出が少なく、軽やかなスッキリしたデザインに住宅にぴったりです。
▲イーヴプロテクター(イーヴスベンツ585と組み合わせてご使用ください)
防火規制の有無にかかわらず、3階建て共同住宅で延焼の恐れのある部分(隣接境界線や道路中心線から一定距離以内)には、準耐火構造60分に対応した「イーヴプロテクター」をお使いください。
▲ep45軒ゼロSG
一方で小屋裏面積の広い軒ゼロ住宅では、「ep45軒ゼロSG」がおすすめです。
本製品は「大きな住宅にはep45軒ゼロS(開発当時現行品)では小さすぎる。
建物によっては外周部すべてに設置しても必要な換気量を確保できない」というお客様からの声に対し、ep45軒ゼロSのおよそ2倍の換気量を確保できるよう開発しました。
有効開口面積は150c㎡/mとトップクラスの効率の良さ。
建坪の小さい3階建て住宅など、建物外周部が短い場合でも安心してご使用いただけます。
▲SEV-15FD(2023年6月1日新発売)
「SEV-15(後述)の防火品がほしい」というお客様の要望に応えて準耐火構造45分の防火認定を取得したSEV-15FDを新発売。
従来品の形状を活かしスリムデザインを継承し、
軒の出が少ないスッキリとしたデザインを邪魔しません。
軒アリ住宅で、軒裏をすっきり見せたい
▲ep30軒アリKは換気孔のスリットが見えないおしゃれなデザイン
軒アリ住宅もデザイン性にこだわる住宅メーカー・工務店が増えています。
スッキリした仕上げにしたい場合、軒天有孔ボードでは「穴がボツボツ空いてるのが気になる」「無孔ボードと交互に張りたくない」となる方も多く、「なにかいい製品はないのかな?」と感じる人も増えています。
そこでおすすめしたいのが「ep30軒アリK」「ep30軒アリNB」「ep30軒アリNK」の3製品です。
これらの製品は、他の製品では露出している換気孔部分を金属製のカバーで覆い極力目立たなくしました。
横一直線に細いスリットが入ったようなデザインで、軒裏をスタイリッシュに見せます。
しかも、白と黒の2色をご用意。
ダーク系外装、ホワイト系外装どちらにも合わせることができます。
3製品とも有効開口面積は150c㎡/mと効率よく軒裏換気でき、準耐火構造30分も取得済み。
戸建や共同住宅とも準防火地域で延床面積500㎡以下の3階建てまで対応(共同住宅で延焼の恐れのある部分はイーヴプロテクターをお使いください)
防火地域でも100㎡以下の2階建て住宅までで、延焼の恐れのある部分に該当しない箇所に使用できます。
▲ep30軒アリNKは、見付幅50mmのスリムデザインで、軒アリ住宅をかっこよく見せる
3つの製品の違いは、対応する納まりや軒天材の違いが主です。
「ep30軒アリK」は厚さ8~12mmの軒天材で、神島化学工業(株)の製品(NM-8578、NM-8579)、エヌビーエルの製品(NM-8314、NM-8315)に対応。
「ep30軒アリNB」は、厚さ8mmの軒天材でエヌビーエルの製品(NM-8314、NM-8315)に対応。
「ep30軒アリNK」は厚さ12mmの軒天材、神島化学工業(株)(NM-8578、NM-8579)、ニチハ(株)(NM-3010)に対応しています。
なお、ep30軒アリNKは他の2製品とデザインが違い、ハニカム形状の樹脂と鋼板のスリットを組み合わせたハイブリッド換気孔を採用。
すぐれた防水・防虫効果を持っています。
現在住宅メーカー・工務店様がお使いになっている軒天材のメーカーや製品をお確かめの上、お選びください。
非防火地域で幅広く使い回せる軒裏換気材がほしい
住宅メーカー・工務店は、なるべく仕様を統一して建材購入や在庫確保を合理的に行いたいと考えていることが多いです。
「建築するのはほとんど非防火地域」という住宅メーカー・工務店もあります。
日本住環境では、軒ゼロにも軒アリにも対応する使いまわしの利く軒裏換気材をそろえています。
▲SEV-15は軒アリでも軒ゼロでも対応でき、切起開口とハニカム効果で高い有効開口面積を誇る
たとえばSEV-15は「破風・鼻隠しをスリムにしたい」「軒アリでも軒ゼロでも使える部材がほしい」という声にお応えして開発した通気見切り材。
500㎡以下、3階建て以下の戸建住宅と、500㎡以下、2階建て以下の共同住宅なら法22条地域まで使用できます。
鋼製のスリットとハニカム形状の樹脂を組み合わせることで防水性や防虫性にもすぐれ、デザインもすっきりさせました。
さらに、ハニカム形状の樹脂通気材をカバーする鋼製カバーを破風代わりにできるスリムデザイン。
小さな鼻隠しにつける場合も、スリムなのではみ出にくくなっています。
施工も胴縁にビス留めするだけなので楽です。
設計上のおさまりも軒ゼロの水上側・水下側・ケラバ、軒アリの勾配軒天などさまざまなパターンに対応。
また雨漏り・結露の被害が多いパラペット部にも使用できます!
日本住環境のパラペット対応製品一覧はこちら!
コストは最大限安く、でも性能はきっちり確保できる軒裏換気材がほしい
▲イーヴスベンツは、北国の厳しい環境で雨や雪の吹き込みを許さなかった定評ある軒裏換気材
フラットルーフ(陸屋根)や無落雪屋根(北海道などに多い)で、狭小地や軒の出がない軒ゼロ住宅に最適な軒裏(軒天)換気材が「イーヴスベンツ」シリーズです。
強い風を伴う雨でも、雨水の浸入を防止しながら必要な通気を確保します。
「イーヴスベンツ18」や、北海道の細かな粉雪が小屋裏に侵入するのを軽減する「イーヴスベンツ585H」など、用途に応じた4種類をラインナップ。
いずれも設計価格で1mあたり2000円を切る低価格で、有効開口面積も142c㎡/m以上とトップクラスの性能を誇ります。
いずれもSEV-15と同様に500㎡以下、3階建て以下の戸建住宅と500㎡以下、2階建て以下の共同住宅なら法22条地域まで使用できます。
まとめ|お客さまの夢をかなえる家をいっしょにつくりませんか?
いかがでしたでしょうか?
「デザインが大事」「防火規制へ的確に対応したい」「なによりコスト優先」などさまざまな住宅メーカー・工務店様のご要望にお応えできる軒裏(軒天)換気材が日本住環境には揃っています。
そして、いずれのご要望でも「小屋裏空間を適切に通気する」という本来の目的を達成できます。
実際にご注文される前に、迷ったら最寄りの当社支店・営業所へご相談ください。