断熱性能が半減⁉カタログからはわからない高断熱住宅の落とし穴NJK BLOG

2026.07.07
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断熱性能が半減⁉カタログからはわからない高断熱住宅の落とし穴New

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こんにちは、日本住環境 イエのサプリ編集部です。
このブログでは良い家づくりに必要な情報を丁寧に解説していきます。
これから家を建てたいと考えている一般の方はもちろん、実際に家づくりに携わっている方にも「タメ」になる情報をお届けします。

家を建てる際、事前に断熱性能などが計算され数値として目で見ることができますが、建てた家が数値通りの性能を発揮してくれるとは限りません。
今回、イエのサプリ編集部が調査するのは、断熱等級5に加え樹脂サッシなどを使用した高断熱なセミオーダーの建売住宅です。

しかし、数値上は高断熱の家にも関わらず、冬はエアコンをつけても足元が寒い住宅となってしまいました。イエのサプリ編集部では、高断熱住宅が寒い原因を徹底調査していきます。

猛虎さん邸概要 場所:大阪府/6地域 撮影日:2024年7月29日 築年数:地区1年 延べ床面積:約47坪 建築:地域工務店/建売住宅(セミオーダー) 広報:木造軸組(在来)工法 断熱部位:天井断熱、壁充填断熱、床断熱、24時間換気:第3種ダクトレス(パイプファン)、断熱性能:断熱等級5(UA値=0.58) 気密性能:???

目次  [表示させる]

セミオーダー建売住宅の気密性能

猛虎邸は一般的な建売住宅ではなく、断熱等級5(Ua値=0.58)になるように断熱材を付加したり、複合サッシとペアガラスだった窓を断熱性能の高い樹脂サッシとアルゴンガス入り複層ガラスに変えたりしたセミオーダーの建売住宅です。

断熱性能の高い樹脂サッシとアルゴンガス入り複層ガラス

また、耐熱性の低い玄関ドアを寒冷地仕様に変えるなどの徹底ぶり。寒冷地仕様に変えたことで、季節問わず玄関の温熱環境は快適だそうです。

玄関ドアを寒冷地仕様に

さらに、台所の配線にできたスキマは埋めてもらうなど、一部気密リカバリーも行っています。

一部ではスキマ対策も。

紹介してきたように高断熱な猛虎邸ですが、住んでみると足元が寒くエアコンで部屋を暖めても改善されないため、床暖房をいれたそうです。

床暖房を追加し、ようやく床の寒さが緩和された猛虎邸の気密性能を調査してみました。結果は、C値=1.2㎠/㎡!

C値は1.2㎠/㎡

イエのサプリでは、C値=1.0㎠/㎡以下を高気密と定義しているため、数値上だと高気密住宅まであと一歩といったところです。
ただし、スキマの総面積(αA値)が194㎠なので、16×16の正方形程度の穴が家に空いている状態といえます。実際にどこにスキマがあるのか寒さの原因を調査していきます。

断熱等級5のセミオーダー建売住宅が寒い原因

ここでは、熱画像カメラや風速計などを使いながら、猛虎邸のスキマや寒くなる原因を探していきます。

性能が低下する断熱材の処理

熱画像カメラで天井を調査していくと、書斎の天井部に大きく色が変わっているところを見つけました。

熱画像カメラ

ボードを張る前の画像と比較すると、コンセントまわりの断熱材が浮いてしまい、コンセントボックスと断熱材の間にスキマができているのがわかります。

断熱材が浮いている
▲ コンセント分(40㎜~45㎜)浮いている状態

猛虎邸の断熱材は100㎜になっていますが、浮いている分の性能が下がるため、実際には6割程度の性能しか発揮できていません。

また、書斎の天井以外にも断熱材がうまく入っていない箇所が見つかりました。

熱画像カメラ キワ

熱画像カメラ キワ

断熱材を厚くしても詰め方によっては、書面上の数値より低い性能しか発揮していない可能性があります。時間に余裕があればハウスメーカーや工務店と契約する前に、天井や壁の断熱材をどのように施工しているか、構造見学会などに参加してチェックするようにしましょう。

40℃近い熱気が吹き込む点検口

点検口は家の中でも漏気しやすい箇所ですが、猛虎邸の点検口は40℃を超える場所もあるほどに熱されていました。

点検口だけ40℃を超えている

撮影当日の外気温が約35℃なので、小屋裏に入り込んだ外気がそのまま点検口から漏気しているようです。点検口からの漏気を防ぐには、2つのポイントがあります。

  • 点検口と周囲の断熱材をしっかり載せる
  • 気密タイプの点検口を使う

点検口には気密タイプのものとそうではないものがあります。気密タイプではない場合、気密タイプに交換したり、気密パッキンでスキマを塞ぐリカバリー方法も効果的です。

※イエのサプリ編集部では、リカバリーを含め施主自らの気密処理を推奨しているわけではありません。ご自身で施工する前に、契約した工務店やハウスメーカーなどの専門家に相談しましょう。

ダウンライトの甘い気密処理

猛虎邸のように内装にもこだわっている住宅では、ダウンライトを採用しているケースも珍しくありません。しかし、ダウンライトは施工方法によっては断熱気密欠損になります。

ダウンライトの名前が高温
▲わかりやすくダウンライトまわりが高温になっている

小屋裏からダウンライトの施工を見ると、気密シートは使われているものの破れたようになっています。

ダウンライトの気密施工が不十分

断熱や気密は施工する際に連続性が重要になります。

不十分な気流止め処理による漏気

最後は風速計で最高温度が40℃だった点検口とスキマになりやすい分電盤から漏気をチェックしました。
結果、点検口は0.87m/s、分電盤に至っては1.70m/sと、手をあてると風が入り込んできているのが感じられる程度のスキマ風が発生しています。

風速0.87m/s風速1.70m/s

また、点検口や分電盤だけではなく、コンセントからも漏気を感じられました。

コンセントは基本風が来ている

点検口や分電盤、コンセントから外気が侵入する原因として「気流止めの施工が不十分」なことも挙げられます。猛虎邸の小屋裏を確認すると袋入り断熱材が少し違う入り方をしてしまっているようです。

断熱材の施工

袋入り断熱材で正しく気流止めするには、社名などのロゴが入った面が表面に来るように折り曲げて詰める必要があります。

袋入り断熱材での気流止め

袋入り断熱材は表と裏で性能が全く違います。

メーカー名記載面は防湿性のあるビニール、メーカー名の記載がない面は透湿性のあるビニール

そのため、性能の高い断熱材も施工を誤ってしまうと性能が発揮できないだけでなく、意味がなくなってしまいます。

建築違法になる?インナーバルコニーの気密処理の盲点とは

半屋外空間として人気なインナーバルコニーですが、バルコニー側と居室側の縁をしっかり切っておかないと外気が直接室内に入り込んでしまいます。

居室とバルコニーの縁が切れていない外気が室内に入り込む

インナーバルコニーを小屋裏から見ると、下の画像のように「外」となるインナーバルコニーには断熱材は不要で、居室側のみ断熱材を敷き詰めていきます。

インナーバルコニーには断熱材は不要

猛虎邸で問題になるのは、下の画像にある居室側の横架材まで気密シートが貼られていなかったり、断熱材がぴったり敷き込まれていない部分です。

居室側の横架材まで気密シートが貼られていなかったり、断熱材がぴったり敷き込まれていない

省エネルギー基準技術講習テキストには横架材まで断熱材を詰め、気密シートを貼るような指示が記載されています。しかし、その施工ができていなかったからといって建築基準法違法や省エネ基準違法にはなりません。
そのため、契約時に断熱性能を決めても、最終的な断熱性能は施工によって決まります。契約時の書面上の数値がそのまま反映されるわけではありませんので注意が必要です。

セミオーダー建売住宅購入の際のポイントをインタビュー

建売住宅をセミオーダーにした猛虎さんに、購入時のポイントをインタビューしました。

スピード感をもちつつも目指す性能を追求すべし

猛虎邸は、家を購入すると決めてから契約まで半年程度で話がまとまり、契約後すぐに基礎工事が始まりました。気密性能の重要性に気づいた時にはすでにボードが張られており、性能面についてはもう少しこだわればよかったと思うようです。

ただ、土地の購入などを急いだ分、立地もよく、家から眺める風景やこだわりの内装に満足しているそうです。

こだわりが詰まったリビング
▲猛虎夫婦のこだわりが詰まったリビング

まとめ

今回の調査でもわかる通り、書面上の断熱性能と実際の断熱性能は必ずしも一致しません。書面上の断熱性能に近づけるには、断熱材を正しく充填し、十分に気流止めを行うことが重要です。
ハウスメーカーや工務店がどのような施工をしてくれるかは、過去に建てた住宅のC値や構造見学会などから確認できます。土地によっては契約までに時間がないこともありますが、一生の資産となるので後悔しないようにチェックしましょう。

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