C値=0.2㎠/㎡の超高気密住宅に欠点はある?日射まで計算された家づくりのこだわりポイントを徹底インタビューNJK BLOG

2025.11.27
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C値=0.2㎠/㎡の超高気密住宅に欠点はある?日射まで計算された家づくりのこだわりポイントを徹底インタビュー

【注文住宅】ほぼ隙なしの高気密高断熱住宅/唯一の違和感…その正体を丸裸にしてみた
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こんにちは、日本住環境 イエのサプリ編集部です。
このブログでは良い家づくりに必要な情報を丁寧に解説していきます。
これから家を建てたいと考えている一般の方はもちろん、実際に家づくりに携わっている方にも「タメ」になる情報をお届けします。

 

イエのサプリではこれまでさまざまな気密性能の家を調査してきましたが、今回はなんと中間気密測定でC値=0.1㎠/㎡(0.08㎠/㎡)を叩き出した超高気密住宅を丸裸にしていきます。

日射シミュレーションやUa値の計算などもご自身で行い、性能と住み心地にこだわった超高気密に欠点はないのか、家を建てる際のこだわりを徹底調査!

バード邸概要

目次  [表示させる]

 

築1年!中間気密測定C値=0.1㎠/㎡(0.08㎠/㎡)の家の気密性能とは

中間気密測定時にC値=0.1㎠/㎡(0.08㎠/㎡)だったバード邸で早速気密測定を行いました。

結果は、C値=0.2㎠/㎡!

C値=0.2㎠/㎡

施主のバードさんは家づくりを始める前にC値=1.0㎠/㎡以下は必要と考え、0.5㎠/㎡を目標に掲げていたそうです。

できたらC値=0.5㎠/㎡

C値=0.2㎠/㎡の高気密住宅にも欠点はある?スキマや二酸化炭素濃度を徹底調査

バード邸はC値=0.2㎠/㎡の超高気密に加え、断熱等級6(Ua値0.33W/㎡・K)に第一種ダクト式の全熱交換型を使って全館空調を行うまさに隙のない住宅でした。

地域工務店で立てた注文住宅

本当に大きなスキマや欠点はないのか、熱画像カメラなどを使って調査していきます。

スキマのない家で唯一見つけた違和感

熱画像カメラでバード邸を調査したところ、温度差がほとんどないことが分かりました。

熱画像カメラ熱画像カメラ

温度差が出やすい窓も部分的には赤くなっていますが、外気温(35℃)より低く、窓ガラスや周りの壁の温度は黄色以下で一定です。

さらにスキマがないか調べていくと、天井の吹き付け断熱と木の間に小さなスキマを発見しました。

この穴は全部埋まります

丁寧に断熱材が吹き付けられていますが、筋交いと小屋束を連結するための転び止めという木材が、経年劣化により少しずつ湾曲してしまったせいで小さなスキマができてしまっています。

転び止め

このスキマには一液の発泡ウレタンを吹き付ければ穴を埋めることができます。ただし、バード邸はαAが44㎠と小さく、吹き付け断熱も隅々まで丁寧に吹き付けられているため、欠陥というほどの深刻な問題ではありません。

本当に隅々までやっている

CO2濃度がやや高い

スキマ以外に問題がないか、バードさんとご家族に協力してもらい二酸化炭素濃度も計測しました。二酸化炭素濃度の基準は1,000ppmとされ、超えてしまうと息苦しさや体調不良などの原因になります。

結果として書斎やリビングは一時的に1,000ppmを超えることがあってもすぐに解消されるため、換気が正常に稼働していることが分かります。

二酸化炭素濃度

寝室は1,500ppmを超えてしまうため、もう少し換気が必要ですが、子供も一緒に寝ていて人口密度が高い事情を踏まえると深刻な換気不足というわけではありません。

寝室の二酸化炭素濃度

結果をもとに、バードさんは就寝時の換気を強運転に変えたそうですが、除湿が追い付かず湿度が上がってしまったようです。最終的に小屋裏へ排気できるファンを取り付け、就寝中の二酸化炭素濃度を500~700ppmまで抑えることに成功しました。

二酸化炭素濃度の下げ方

二酸化炭素濃度の下げ方は家の大きさや住み心地、換気方法によっても変わるため、二酸化炭素濃度が気になる方は一度工務店やハウスメーカーに相談してみてください。

住み心地と性能を兼ね備えた住宅づくりの5つのこだわり

バードさんは住み心地のいい家を建てるため、宅建(宅地建物取引士)やFP2級を取得するなど、かなり勉強されたそうです。ここまで勉強するのは難しいと思いますので、今回はバードさんに家づくりでこだわった5つのポイントについて解説します。

1.日射シミュレーションで夏場の日射を徹底管理

バード邸は九州にあり、採光のため大きな窓を採用してしまうと夏場は直射日光が入り込み、高性能の窓でも室温の上昇を抑えられません。

夏場は絶対に日差しが入らないように

工務店に相談したところ、日射シミュレーションを使った計算はしていないと言われたため、ご自身で無料の日射シミュレーションソフトをダウンロードし、夏場は絶対に日射が入らないように軒やテラスの屋根の長さを調整したそうです。

軒を出したりテラスの屋根をかけたり

テラスの庇は2m70cmまで伸ばし、吹き抜けには直射日光を遮るために1mの庇を付けたそうです。真夏の直射日光が入らないので、大きな採光窓を設置しても室温が上がりすぎず、明るく居心地の良い家となっています。

2.ほとんどの窓にFIX窓を採用

バード邸は窓も多く明るい家になっていますが、ほとんどの窓で最も気密の取りやすいFIX窓(はめ殺しになっていて開かない窓)を採用しています。1階では掃き出し窓1カ所を除き全てがFIX窓だそうです。

採光窓FIX窓

窓に開閉機能を持たせないことで気密と防犯、両方の効果を得られます。

3.断熱材の厚みも高めていく

快適な家を作るには気密性能だけではなく、他の性能も上げていく必要があります。

バード邸は当初Ua値0.36W/㎡・Kでしたが、断熱材を増減した際にどのような結果になるかをバードさん自身が計算し、断熱等級6に該当する0.33W/㎡・Kまで性能を高めました。

屋根断熱

断熱等級は7まであり、バード邸もリビングの窓を1つ減らし玄関ドアのタイプを変え、断熱材を増やすことで断熱等級を7にできましたが、費用と住み心地を考え断熱等級6で留めることを決めました。

▶断熱等級に関するバードさんのマニアックな説明が見たい方はこちら(クリックで開く)

屋根の断熱材を10cmにした場合の熱貫流率は0.210W/㎡・K。10cmを11cmに増やすと熱貫流率は0.019W/㎡・K(マイナス0.2W/㎡・K)まで下がり断熱性能が高まります。

しかし、14cmの断熱材を15cmに増やしても、0.012W/㎡・K(マイナス0.07W/㎡・K)までしか下がりません。このように、一定の厚みを超えると1cmに対する影響は弱まるということです。屋根や壁は元の断熱性能が高いため、今以上増やしても効果はあまり期待できません。

ただし、玄関ドアはK2タイプなので、熱貫流率は1.99W/㎡・Kと屋根や壁と比較すると断熱性能が低くなるため、玄関ドアを代えることで断熱性能向上の効果は期待できますが、かなり高額になるため諦めました。

4.家の湿度を徹底管理

マンションに住んでいた頃には、室内の湿度でかなり大変な思いをしたバードさん。梅雨時期には室内の湿度が80%を超えてしまい、不快な思いをしたようです。

そのため、マイホームでは湿度管理は徹底したいと希望がありました。

室温管理

全館空調や換気を徹底し、夏でも相対湿度は50%~55%をキープ。絶対湿度は13g/㎥を超えないように管理しているそうです。

温度管理温室管理

計算された気密・断熱・日射・湿度管理などのおかげで、40℃を超えるような真夏でも6畳用のエアコンと10畳用のエアコンの合計2台だけで快適に過ごせたようです。

5.高気密高断熱の工務店へ依頼

バードさんはもともと大手ハウスメーカーで話を進めていたようですが、契約の段階で「気密は取れません」と言われたため、一度話を白紙に戻したそうです。

やっぱり気密はとれません

その後、気密性能に優れたハウスメーカーや工務店をリストアップし、最終的にはバードさんの奥さんがデザイン性を比較して選びました。依頼した工務店では標準で断熱等級6を採用し、全棟で気密測定を行い、気密性能は全てC値=0.5㎠/㎡以下という実績を持っています。

C値=0.5㎠/㎡以下

家を建てる際は、工務店の実績や契約時に書面で約束してくれるかを確認しましょう。

猛暑地域は必見!徹底した夏対策のポイント

バード邸は直射日光を入れないように庇を伸ばす以外にも、以下のような真夏対策を行っていました。

土地選び: 西日を遮るために西に2階建ての建物がある土地など、直射日光が入らない土地を選ぶ

屋根の形状: 片流れ屋根の全面に太陽光パネルを設置し、屋根全体に日陰を作る

窓性能: 窓は樹脂サッシでトリプルガラスを採用する

全ての条件を満たそうとすると予算を超えてしまったり、なかなか家づくりが進まないこともありますので、どのような家に住みたいのかを考え、条件を絞っていくといいでしょう。

まとめ

徹底した計算やシミュレーションの上で建てられたバード邸。最後にこれから家づくりをする方へアドバイスをお聞きしました。

全体でどう快適な家を実現していくのか

▶家づくりに関するインタビューについてはこちら

バードさんのように資格を取るまで勉強していくのは難しいので、今回のNJKブログやイエのサプリの動画を参考に、工務店やハウスメーカーと相談しながら家全体で性能を高めていくような家づくりをしていきましょう。



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