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こんにちは、日本住環境 イエのサプリ編集部です。
このブログでは良い家づくりに必要な情報を丁寧に解説していきます。
これから家を建てたいと考えている一般の方はもちろん、実際に家づくりに携わっている方にも「タメ」になる情報をお届けします。
夏は涼しく、冬は暖かい家を作るには、気密や断熱性能などの住宅性能に関わる要因を全体的に上げていく必要があります。ただし、性能を上げるにも一定の費用がかかるため、住宅性能と予算の間でジレンマを抱えてしまう施主も多くいます。
今回、イエのサプリ編集部が調査したミスターさんの自宅は、コストの兼ね合いで気密に力を入れない地域密着型のローコスト工務店へ依頼したそうです。最初から気密に力を入れないと分かっていたため、なんと施工中にミスターさん自ら床や壁、天井へ気密テープを貼っていったとのこと。
住宅性能をYouTubeで勉強したミスターさん。果たして家の気密性能は、目標としていたC値=1.0㎠/㎡を超えているのでしょうか。今回、イエのサプリ編集部が熱画像カメラやフォグマシンなどを使って、住宅性能を丸裸にしていきます。
※イエのサプリ編集部では、リカバリーを含め施主自らの気密処理を推奨しているわけではありません。ご自身で施工せず、契約した工務店やハウスメーカーに気密処理を相談・依頼しましょう。
ミスターさんはハウスメーカーから許可を取って施工を実施しています。絶対に無断でやらないようにしましょう。
目次 [表示させる]
施主自ら気密処理した家のスキマを徹底調査
施主自ら気密処理をした家の気密性能がどうなっているのか、熱画像カメラやフォグマシンを使い徹底調査をするとミスター邸の決定的な問題を発見。それは配線です。

フォグ試験中に分電盤から出る大量のスキマ風を確認し、詳しく調査するため点検口から中を覗いてみると、乱雑な配線と大きな穴を発見しました。

大量の配線が気密処理されないまま壁を通されているため、その周りが全てスキマになってしまっている可能性があります。

また、この部分には電気配線をするためのCD管が2本入っていますが、CD管は内部を通る配線とCD管の間をパッキン等で塞がないと空間がそのままスキマとなってしまいます。


さらに熱画像カメラを使い、家中を探すと天井の間仕切りの一部に温度が大きく変化している箇所を見つけました。


近くのスイッチボックスのスキマ風を測定すると風速1.31m/sの風が室内に流れ込んでいるのが発覚。

このほかにも、部分的に風速0.9m/sを超えるコンセントボックスやスイッチボックスも見つかりました。配線についてミスターさんに確認すると熱画像カメラで間仕切りの一部が変化していた部分には、配線の束が断熱材を貫通しているそうです。

配管が断熱材を貫通する場所にも気密テープによる気密処理が必要になります。配線周りの気密の取り方については、以下の動画でも紹介中です。
【マイナス約40㎠/㎡】人通口などを埋めると家のスキマは大きく変わる!
ミスター邸は、引き渡し時のC値が1.1㎠/㎡でしたが、イエのサプリが改めてC値を調査したところ、C値は0.8㎠/㎡まで改善していました。ミスターさんに話を聞くと、お風呂を無断熱状態から基礎断熱にして人通口を塞ぐなどの気密処理を追加で行っていたようです。

αA(家中のスキマの面積の合計)も133.1㎠から95㎠まで減少していました。このことから、人通口などをしっかり塞ぐことで、約40㎠のスキマを減らせることがわかりました。
人通口やお風呂場の床の気密に関しては、以下の動画で詳しく解説中です。
高気密の家に潜む換気の注意点
24時間換気にダクトレスのパイプファンを利用する高気密住宅では、レンジフードなど他の換気扇を利用した場合に空気が逆流し、嫌な臭いがキッチンまで戻ってきてしまうことがあります。
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ミスター邸ではパイプファンを利用したダクトレス換気を採用していたため、パイプファンから空気が逆流するのか調査しました。
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結果として、給気レンジフードを運転させると本来排気をするはずのパイプファンから給気していることがわかりました。

▲レンジフードの弱運転で3㎥/h、中運転で14㎥/h、強運転で33㎥/h程度の給気がパイプファンから発生。強運転だとパイプファンにつけたティッシュがなびいてしまう。
もし、24時間換気にダクトレスを採用している場合は、レンジフードを使う場合のみパイプファンのシャッターを下ろすなど、逆流対策が必要になります。
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気密性能と住宅コスト
気密性能の良い家に住みたいと思っても、限られた予算の中では追求できないこともあります。ここでは、ミスター邸を建てた際のコストや、住んでみての電気代などについて紹介するので、家を建てる際の参考にしてみてください。
気密性能を高めるのに予算はいくら必要?
ミスターさんはできれば気密性能を高めたいと思っていたものの、気密性能にこだわる工務店を選ぼうとすると数が限られるうえに数百万円規模で値段が上がってしまうため、妥協してしまったそうです。
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ただし、今の工務店では天井の断熱材が200mmで窓サッシにはオール樹脂を採用、オプションとして太陽光パネルの設置を含めても2,000万円と予算的にはかなり抑えることに成功。
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冬でも窓際は寒くないなどのメリットがあり、その点も良かったそうです。
高気密住宅の電気代は?
5人家族でエアコン2台を使用しているミスター邸ですが、電気代を聞いたところ夏の電気代は6,000円程度で、売電収入と差し引きすると売電収入の方が上回るそうです。
また、冬でも13,000円程度に収まり、高気密高断熱住宅では電気代が低く抑えられることがわかります。
まとめ
気密性能にどの程度こだわるかは工務店やハウスメーカーによって異なるため、追求しようとすると選択肢が狭まったり予算が跳ね上がってしまうのが現状です。
そのため、妥協してしまう人もいるかと思いますが、気密をはじめ住宅性能を高めておくことで毎月の電気代などランニングコストを抑えていけるため、どの程度の性能を求めるかは動画などを参考に工務店やハウスメーカーとよく相談することをおすすめします。
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