換気と美観の両立!軒ゼロデザインが解決する3つの設計ジレンマNJK BLOG

2025.12.05
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換気と美観の両立!軒ゼロデザインが解決する3つの設計ジレンマNew

軒ゼロ住宅
近年、シンプルでモダンな外観デザインとして注目を集める「軒ゼロ」住宅は、その美しいシルエットで多くの施主を魅了しています。しかし、このデザインを追求する設計者は、外観の美しさを保ちつつ、住宅の基本性能である適切な換気や高い防水性をどのように両立させるかという、難しい課題に直面しています。本稿では、軒ゼロデザインがもたらすメリットと、それに伴う設計上のジレンマを深掘りし、これらの課題を解決するための具体的なアプローチと、革新的な建材の活用について詳しく解説します。この記事を通じて、美しい外観と優れた住宅性能を両立させるための実践的な解決策を見つけることができるでしょう。

目次  [表示させる]
1.なぜ今「軒ゼロ」なのか?人気の理由と設計者が直面する課題
1-1.モダンな住宅デザインの主流「軒ゼロ」とは
1-2.軒ゼロデザインがもたらす3つのメリット
1-3.設計者を悩ませる軒ゼロのデメリット:雨漏り・外壁劣化・換気問題
2.軒ゼロ設計における3つのジレンマ
2-1.【ジレンマ1】美観 vs 機能性:スッキリした外観を損なう換気部材
2-2.【ジレンマ2】防水性 vs 換気性能:開口部が雨漏りのリスクに
2-3.【ジレンマ3】デザインの多様性 vs 部材の制約:複雑な納まりと施工の手間
3.設計ジレンマを解消する次世代の軒ゼロ換気部材「SEV-15」
3-1.解決策① スリムデザインで美観を損なわない
3-2.解決策② 高い防水性と確実な換気量を両立する独自構造
3-3.解決策③ 多様な設計に柔軟に対応するマルチビルド性能
4-1.製品仕様一覧
4-2.資料請求・お問い合わせ
5.まとめ:軒ゼロデザインの可能性を広げ、顧客満足度を高める設計へ

なぜ今「軒ゼロ」なのか?人気の理由と設計者が直面する課題

軒ゼロ住宅
近年、住宅デザインにおいて「ノイズレス」と呼ばれる、凹凸の少ないシンプルな外観が注目を集めています。その中でも、特に「軒ゼロ」と呼ばれる軒の出がない住宅デザインは、モダンで洗練された印象を与えることから、多くの設計者や施主から支持されています。

しかし、この軒ゼロデザインは、その美しさの裏側で、雨漏りリスクの増加、外壁の劣化促進、そして小屋裏換気の確保といった、設計者が向き合うべき複数の技術的な課題も抱えています。この記事では、軒ゼロデザインが選ばれる理由と、それがもたらす課題、そしてそれらを解決するための具体的な方法について詳しく解説していきます。

モダンな住宅デザインの主流「軒ゼロ」とは

「軒ゼロ」住宅とは、文字通り軒の出が極めて少ない、あるいは全くないデザインの住宅を指します。具体的には、軒側が250mm以下、ケラバ・棟側が150mm以下の軒の出に抑えられている住宅がこれに該当します。このような設計は、建物の外形をすっきりと見せ、現代的なミニマリストデザインを追求する上で重要な要素となっています。
軒ゼロ 軒アリ

軒ゼロデザインが主流となりつつある背景には、単なるデザインの流行だけでなく、実用的な側面も深く関わっています。都市部での建築においては、敷地面積が限られていることが多く、軒の出を最小限に抑えることで、建築面積を最大限に活用し、居住空間を確保することが可能になります。これにより、狭小地であっても開放感のある住まいを実現できるため、都市型住宅の選択肢として高く評価されています。

軒ゼロデザインがもたらす3つのメリット

軒ゼロデザインは、そのモダンな外観だけでなく、設計者や施主にとって複数の実用的なメリットをもたらします。まず、狭小地での建築において、建築面積を最大限に確保できる点が挙げられます。軒の出を抑えることで、隣地境界線までの距離を有効に活用でき、限られた敷地の中で居住空間を広く確保することが可能になります。
狭小地
▲狭小地では軒ゼロ住宅が多い

次に、建物の輪郭が際立ち、シャープで洗練された外観デザインを実現できることです。軒の影が少なくなることで、外壁の素材感や色彩がより強調され、モダンでスタイリッシュな印象を与えます。これは、デザイン性を重視する施主にとって大きな魅力となります。
軒ゼロ スリム
▲軒がないことでスタイリッシュなデザインに

そして、軒天材などが不要になることによるコスト削減の可能性もメリットの一つです。軒がないことで、軒天を設けるための下地材や仕上げ材、その施工費などが削減できる場合があります。これは、建築費用全体を抑えたい場合に有効な選択肢となり得ます。

設計者を悩ませる軒ゼロのデメリット:雨漏り・換気問題

軒ゼロデザインは多くのメリットがある一方で、設計者が十分に注意すべきいくつかのデメリットも存在します。その一つが、雨漏りリスクの増大です。軒による庇がないため、屋根と外壁の取り合い部分や窓サッシ周りが雨水に直接晒されやすくなります。特に、強風を伴う大雨の際には、雨水の浸入経路が増え、シーリング材や防水層の劣化が進むと、雨漏りにつながる可能性が高まります。
雨漏り 台風 ゲリラ豪雨
▲台風や豪雨による雨漏り被害の危険性が…

そして、高気密・高断熱化が進む現代の住宅において、小屋裏換気の確保が難しくなるという問題があります。小屋裏換気は、結露を防ぎ、建物の耐久性を向上させる上で不可欠な要素です。しかし、軒がないことで、従来の軒裏換気口を設置するスペースが確保しにくくなり、十分な換気量を確保するための工夫が必要となります。適切な換気ができないと、小屋裏に湿気がこもり、躯体の腐食やカビの発生を引き起こす原因となるため、この問題は建物の長期的な健全性を左右する重要な課題と言えます。
結露 野地板
▲結露でぬれた野地板

軒ゼロ設計における3つのジレンマ

軒ゼロデザインの住宅が持つ魅力は大きい一方で、設計者は美観と機能性の両立において、常にいくつかのジレンマに直面します。特に、スッキリとした外観を保ちながら、住宅に不可欠な換気や防水性能をどう確保するかは、頭を悩ませる大きな課題です。

本章では、美観と機能性、防水性と換気性能、そしてデザインの自由度と部材の制約という、設計者が直面しやすい3つのジレンマを深掘りします。これらの課題を明確にすることで、今後の解決策への理解をより深めていただけるでしょう。

【ジレンマ1】美観 vs 機能性:スッキリした外観を損なう換気部材

破風
▲破風が厚いとせっかくのデザインを損なってしまう可能性も

軒ゼロデザインを追求する設計者が最初に直面するジレンマは、住宅の美しい外観と換気機能のバランスです。目指すのは、極限まで凹凸をなくした「ノイズレス」なミニマルデザインですが、従来の換気部材をそのまま適用すると、そのデザインが損なわれてしまうことがあります。

多くの換気部材は、一定の厚みや存在感を持つため、外壁のフラットな面に設置すると、意図しない出っ張りや陰影を生み出します。これは、せっかく実現した軒ゼロのシャープな印象を損ない、設計者のこだわりを阻害する要因となります。機能性を優先すれば外観が損なわれ、外観を優先すれば換気性能が不十分になるという、このジレンマは、設計者が常に解決を模索しているテーマの一つです。

【ジレンマ2】防水性 vs 換気性能:開口部が雨漏りのリスクに

防水 通気
▲防水と通気の両立が難しい

軒ゼロ住宅において、防水性と換気性能の両立は非常に難易度の高い課題です。小屋裏の湿気を効率的に排出するためには、適切な換気開口部を設ける必要がありますが、軒がない設計では、この開口部が雨水の侵入経路となるリスクを常に抱えています。

特に、日本の気候では台風や局地的な豪雨といった暴風雨が頻繁に発生します。このような過酷な条件下では、通常の雨では問題なくても、強風を伴う雨が換気開口部から吹き込み、小屋裏や壁内部に水が浸入する可能性が高まります。十分な換気量を確保しつつ、いかにして雨水の浸入を確実に防ぐかという点は、設計段階で最も慎重に検討すべき技術的な核心であり、相反する性能を両立させるための高度な工夫が求められます。

【ジレンマ3】デザインの多様性 vs 部材の制約:複雑な納まりと施工の手間

片流れ 切妻
▲軒ゼロと言っても様々な屋根形状がある

現代の住宅設計では、軒ゼロデザイン一つとっても、屋根の形状、外壁の素材、建物の配置などによって、求められる納まりは非常に多岐にわたります。しかし、市販されている多くの換気部材は、汎用性を重視するあまり、特定のシンプルな納まりにしか対応できないケースが少なくありません。これが、設計者のデザインの自由度を大きく制約する原因となります。

もし既存の部材で対応できない納まりに遭遇した場合、設計者は現場での複雑な加工や、複数の部材を組み合わせるなどの追加的な工夫を強いられることになります。これにより、施工の手間が増大し、工期の延長やコストの上昇を招くだけでなく、職人の技術力に依存する部分が大きくなるため、施工品質のばらつきや、設計意図とのずれが生じるリスクも高まります。デザインの多様なニーズに応えながら、施工の簡便性と品質を両立させることは、軒ゼロ設計における大きなジレンマとなっています。

設計ジレンマを解消する次世代の軒ゼロ換気部材「SEV-15」

SEV-15 軒ゼロ 躯体換気
軒ゼロデザインの住宅設計において、美観と機能性の両立は常に設計者を悩ませる課題でした。しかし、次世代の軒ゼロ換気部材「SEV-15」は、これらの設計ジレンマを解消する画期的なソリューションとなります。この製品は、スリムなデザインによって建築の美しさを損なわず、独自の防水構造で雨漏りリスクを低減しながら確実な換気性能を確保します。さらに、多様な屋根形状や納まりに柔軟に対応するマルチビルド性能により、設計の自由度を格段に高めることが可能です。これまでの課題をいかに解決し、理想の軒ゼロ住宅を実現するのか、その具体的な性能について詳しく解説していきます。

解決策① スリムデザインで美観を損なわない

軒ゼロ SEV-15
軒ゼロデザインの美観を損ねるというジレンマに対し、「SEV-15」は徹底的にスリム化されたデザインで応えます。この製品は、厚さ17mm、見付幅40mmという非常にコンパクトな設計が特徴です。従来の換気部材が持つゴツゴツとした印象とは異なり、この薄型デザインは軒先に自然に溶け込み、外壁と一体化したようなスッキリとした納まりを実現します。鼻隠しを小さく設計しても部材がはみ出す心配がなく、ノイズレスな外観を追求する設計者にとって、非常に魅力的な選択肢となります。

「SEV-15」を採用することで、外壁のフラットな面を遮ることなく、シャープでモダンな軒ゼロデザインを維持できます。換気という機能性を確保しながらも、建物の外観に余計な凹凸や影を生み出すことがありません。これにより、設計者が思い描くミニマルで洗練されたデザインを、そのまま忠実にカタチにすることが可能になり、美観と機能性の両立を実現します。

破風いらずのシャープな納まりを実現

「SEV-15」の最大のデザイン上の利点は、破風板を不要とするシャープな納まりを実現できる点にあります。従来の多くの住宅では、屋根の妻側(破風側)やケラバ側には、屋根材の端部を隠し、雨仕舞を確保するために破風板が取り付けられていました。しかし、この破風板が建物の外観に一定の厚みや出っ張りをもたらし、ノイズレスなデザインを追求する上で課題となることがありました。

「SEV-15」は、破風板なしでも屋根の端部処理と小屋裏換気を両立できる構造を持つため、よりミニマルで洗練された外観を可能にします。建物全体のラインが際立ち、よりモダンでシンプルな印象を与えるため、デザイナーの意図をダイレクトに表現できる魅力的な部材と言えます。

解決策② 高い防水性と確実な換気量を両立する独自構造

SEV-15 防水
軒ゼロデザインにおいて、防水性と換気性能の両立は設計上最も難しい課題の一つです。「SEV-15」は、スリムな形状でありながら、有効換気面積100c㎡/mを確保し、住宅の耐久性向上に不可欠な十分な換気量を実現します。この換気性能は、小屋裏の結露を防ぎ、木材の腐朽や断熱材の性能低下を抑制するために極めて重要です。

この製品の核心的な価値は、確実な換気性能を維持しつつ、後述する独自の構造によって高い防水性能を両立している点にあります。雨水の浸入リスクを最小限に抑えながら、湿気を効率的に排出することで、住宅の長期的な健全性を守ります。これにより、設計者は防水性の懸念から換気量を妥協することなく、最適な住宅性能を追求できます。

切起開口とハニカム形状が水の浸入を防ぐ

「SEV-15」の高い防水性能は、「切起開口」と「ハニカム形状」という二つの独自構造によって支えられています。まず、切起開口とは、部材の開口部が単なる穴ではなく、雨水の侵入方向に対して立ち上がるように加工されている形状のことです。これにより、雨粒が直接内部へ飛び込むのを防ぎ、一次的な防水バリアとして機能します。

万が一、強風を伴う雨などで切起開口をすり抜けて水が浸入した場合でも、部材内部に設けられたハニカム形状が水の流れを細分化し、物理的にせき止めます。この構造は、浸入した水を滞留させずに排出方向へ促すため、壁体内部への水の到達を効果的に阻止します。この二重の対策により、「SEV-15」は十分な換気性能を確保しながらも、雨水の浸入を強力に防ぎ、住宅の躯体を守る高い防水信頼性を実現しています。

解決策③ 多様な設計に柔軟に対応するマルチビルド性能

水上 水下 ケラバ SEV-15
軒ゼロデザインの多様化が進む現代において、特定の納まりにしか対応できない部材は、設計の自由度を大きく制限します。「SEV-15」は、その高い「マルチビルド性能」によって、この設計ジレンマを解消します。単一の部材でありながら、軒ゼロ住宅の様々な部位や、さらには軒アリ住宅にまで対応できる汎用性を持っているため、設計者は部材の制約を気にすることなく、より自由な発想でデザインに取り組めます。

この柔軟性により、屋根の形状や外壁の仕様が異なる場合でも、共通の換気部材を使用できるため、部材選定の簡素化、在庫管理の効率化、そして設計の標準化に貢献します。複雑な納まりごとに異なる部材を探したり、現場での加工に手間取ったりする心配がなくなり、設計者は本来の創造的な業務に集中できます。

軒ゼロ(水下・水上・ケラバ)から軒アリまで対応

「SEV-15」のマルチビルド性能は、軒ゼロ住宅のあらゆる部位への対応力に顕著に表れます。軒ゼロ住宅で最も一般的な「軒ゼロ-水下側」はもちろんのこと、片流れ屋根で特に換気が重要となる「軒ゼロ-水上側」、そして屋根の端部である「軒ゼロ-ケラバ」といった、これまで部位ごとに異なる部材選定が必要だった箇所にも、この単一製品で対応可能です。

さらに、「SEV-15」は軒の出がある「軒アリ-水下側」の住宅にも適用できます。これにより、軒ゼロデザインだけでなく、軒アリ住宅でよりシャープな軒先を実現したい場合にも活用できるため、設計の幅が大きく広がります。異なる部位や工法に同じ部材が使えることは、設計図書の作成負担を軽減し、現場での誤発注や施工ミスを防ぐという点で、設計者や施工者にとって大きなメリットとなります。

このような高い汎用性は、設計者が建物のデザインや構造に合わせて柔軟に部材を選べることを意味し、特定の部材に縛られることなく、意図する設計を具現化するための強力なサポートとなります。デザインの自由度を高めながら、機能性と施工性を両立させる「SEV-15」は、現代の住宅設計に欠かせないソリューションです。

胴縁への留め付けだけで完了する簡単施工

SEV-15 胴縁
「SEV-15」は、その高い機能性にもかかわらず、現場での施工が非常に簡単であるという特長を持っています。特別な技術や複雑な加工を必要とせず、基本的な施工手順として「胴縁に留め付けるだけ」というシンプルさを実現しています。これにより、施工現場での作業効率が大幅に向上し、工期の短縮にも貢献します。

シンプルかつ確実な施工方法は、施工品質の安定化にも繋がります。熟練度に関わらず一定の品質で取り付けられるため、部材の性能を最大限に引き出し、設計通りの換気・防水機能を発揮させることが可能です。設計者にとっては、現場での施工ミスによるトラブルのリスクが低減されるため、安心して採用できる部材と言えるでしょう。

製品仕様一覧

 

「SEV-15」の詳細情報は下記からダウンロード可能です。

資料請求・お問い合わせ

「SEV-15」にご興味をお持ちいただき、誠にありがとうございます。さらに詳しい製品情報をご希望の場合や、具体的な案件での採用をご検討されている場合は、お気軽にお問い合わせください。

製品カタログの請求、サンプル部材の依頼、または技術的な詳細に関するご質問など、どのようなことでも専門スタッフが丁寧に対応させていただきます。皆様の設計をサポートし、軒ゼロデザインの可能性を広げるために、ぜひ私たちにご相談ください。

 

高性能部材を取りそろえた新ブランド「MIKATA」

この記事で紹介しました「SEV-15」を含めた新ブランド「MIKATA(ミカタ)」がスタートしました。
「MIKATA」は、「性能」「施工性」「美観」の共存をさらに高いレベルで追及する新ブランドです。「SEV-15」をはじめとした高性能な部材を多数ラインナップしております。

MIKATAシリーズ
「SEV-15」の実例も掲載!

まとめ:軒ゼロデザインの可能性を広げ、顧客満足度を高める設計へ

軒ゼロデザインは、もはや一時的な流行ではなく、現代の住宅設計におけるスタンダードとなりつつあります。シンプルな美しさを追求する「ノイズレス」な外観は、多くの施主様から求められていますが、換気や防水といった機能性を確保することとの間で、設計者はジレンマを抱えていました。

しかし、「SEV-15」は、こうしたジレンマを解消し、デザイン性と機能性を高次元で両立させます。スリムなデザインで外観の美しさを損なわず、高い防水構造で雨漏りのリスクを低減しつつ、確実な換気量を確保できることは、軒ゼロ住宅の抱える課題に対する具体的な解決策となります。

建材を適切に選択し活用することで、設計者の皆様は創造性を最大限に発揮し、自由な発想で軒ゼロデザインの可能性をさらに広げることができます。これにより、施主様の理想とする美しい住まいを実現し、高い顧客満足度へと繋がる住宅設計を提供できるようになるでしょう。



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