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こんにちは、日本住環境 イエのサプリ編集部です。
このブログでは良い家づくりに必要な情報を丁寧に解説していきます。
これから家を建てたいと考えている一般の方はもちろん、実際に家づくりに携わっている方にも「タメ」になる情報をお届けします。
家づくりで優先したいこだわりは、人によって大きく違ってきます。
今回は、自然素材にこだわりを持ち断熱性能に熱意のある工務店で建てたゴマパパさん邸を調査しました。
断熱性能は等級5。「裸足で歩ける家」を夢見て建てた家ですが、住んでみると思ったよりも暖かくないとのこと。中間気密測定や完成気密測定はしていないそうですが、断熱と気密はセットと思い、あまり気にしていなかったそうです。
実際の気密性能はどうなのか、撮影当時築5年だった家をイエのサプリが徹底調査していきます。
目次 [表示させる]
“気密測定しなくても気密性能がいい”といわれた住宅性能を徹底検証!
「高断熱だからある程度の気密性能も担保します」と言われたゴマパパさん邸ですが、気密測定をしてみると結果はC値=2.9㎠/㎡。

C値=1.0㎠/㎡以下を高気密とし、C値=0.5㎠/㎡を目指すイエのサプリとしては、かなり気密性能が悪いと判断できる結果となりました。
大きなスキマとなる場所が2か所あったので、検証結果とあわせて紹介します。
配管まわり
ゴマパパさん邸を熱画像カメラで調査したところ、洗面所の配管まわりが冷えていることがわかりました。

フォグ試験を行ったところ、配管のスキマから室内へ大量の煙が侵入していることが発覚!

床下に潜り細かくスキマを調査したところ、給水管などをはじめとする配管まわりにスキマを発見しました。


ゴマパパさん邸では床断熱に吹き付けの発泡ウレタンを使用していて、配管以外はしっかりとキワまできれいに吹き付けられています。

雑な施工でスキマができたのではなく、工事中に配管が揺れたことで配管まわりにスキマができてしまったようです。
お風呂場の人通口
ゴマパパさん邸の床下には、配管以外にも大きなスキマができていました。それは「人通口」です。

ゴマパパさん邸では床断熱を採用しているため、本来であれば最後に人通口を塞がなければいけません。浴室の床下にできたスキマはお風呂場の足元を冷やすだけではなく、壁を通り点検口から室内にスキマ風が入り込むことで浴室内全体を冷やす原因となります。
C値=2.9㎠/㎡の家の第一種ダクトレス熱交換換気と換気量を調査
スキマ調査の他に、必要換気量や二酸化炭素濃度についても調査してみました。ゴマパパさん邸は家自体大きいため、必要換気量は241㎥/hです。
調査の結果、第一種換気の排気量(お風呂場の換気を合わせて)が139㎥/h、給気量が53㎥/hとなりました。排気をとると換気回数が0.28回/hとなっていて、必要換気回数である0.5回/hを超えていないという結果に。
必要換気量が足りていなかったため、二酸化炭素濃度も高いのでは?と思い二酸化炭素濃度を調べてみると、結果はほとんどの時間で1000ppmを下回るという結果になりました。
一番二酸化炭素濃度が高い子供部屋でも、一時的に1000ppmを上回っても、時間経過により1000ppm以下になっていきます。

基本的に換気量が足りない家では、上手く換気できないため二酸化炭素濃度が高くなってしまいます。
ただ、ゴマパパさん邸では住宅が大きく各部屋の人口密度が低くなるため、必要換気量が足りなくても空気があまりこもらないのだと考えられます。
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ただ、必要換気量自体は基準値を満たしていないため、家の気密性能を高め、必要換気量を確保する必要があります。
自然素材と気密性能は相性が悪い?
家づくりの際にゴマパパさんがこだわったのは、「新築特有の匂いがないこと」だそうです。実際にクロスがなく、壁が全て漆喰仕上げの家となっています。
工務店選びでは「暖かく」「自然素材」をキーワードに、自然素材にこだわるところを探したそうです。その工務店では、有機溶媒が含まれている部材などは極力使わないため、引き渡し時に新築特有の匂いが一切せず、住んでみて気持ち悪くなることもなく快適な暮らしを始められました。
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自然素材は素材ごとに調湿性や蓄熱性などに優れていますが、自然素材だけで気密をとるのは難しいため注意が必要です。
ゴマパパさん邸を建てた工務店では自然素材に強いこだわりがあり、通常は気密テープやタッカーで留める気密シートを木で留めています。
気密シートをテープやコーキングで留めないと、外側にあるクロスにヒビが入ればそこからスキマ風の侵入を許してしまいます。
リカバリーも難しくなるので、自然素材にこだわって家を建てる場合、全てを自然素材にするのではなく、『気密シートは気密テープで留める、室内側で防湿層が連続していれば外側の構造用面で気密を取る』などといった対応が必要です。
断熱性能が良い=気密性能が良い家の落とし穴
高断熱をウリにしている工務店やハウスメーカーも多くありますが、注意すべきは高断熱だからと言って高気密ではないということです。
ゴマパパさん邸では、断熱等級5となっていて窓にはトリプルガラスや樹脂サッシが標準採用されていました。ただ、窓を熱画像カメラで見ると最低温度が9.5℃で、サッシにはスキマ風が原因と思わしきホコリのスジができています。
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断熱性能の高い素材を使用しても、気密が取れていないと性能を十分に発揮できず、寒く汚れやすい家になってしまいます。
家づくりの際は「高断熱だから気密も大丈夫」と安心せず、気密性能についても確認することが重要です。
まとめ:高気密高断熱住宅で重要なのは”気密測定”をすること!
自然素材や断熱性能の高い部材を活かし、より快適な家にするためにも、家の気密性能は重要です。
ただ、気密性能は目に見えないため、必ず中間と完成時に気密測定を行いましょう。その際に、C値をどの程度にするか契約時に決めておく必要があります。
イエのサプリではC値=1.0㎠/㎡以下を高気密とし、C値=0.5㎠/㎡を目指した家づくりを推奨しています。C値=1.0㎠/㎡以下の高気密住宅がどのくらい暖かいのか知りたい人は、以下の動画も参考にしてみてください。