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こんにちは、日本住環境 イエのサプリ編集部です。
このブログでは良い家づくりに必要な情報を丁寧に解説していきます。
これから家を建てたいと考えている一般の方はもちろん、実際に家づくりに携わっている方にも「タメ」になる情報をお届けします。
家のスキマをなくし高気密住宅にすれば、断熱性能に関わらず必ず家が暖かくなるかというとそうではありません。
今回、イエのサプリが調査したサウザー邸では、C値=0.3㎠/㎡の高気密住宅であるにも関わらず、5歳のお子さんが冬にお風呂場で寒さのあまり泣いてしまったそうです。高気密でスキマ風は少ないはずなのに、なぜこのような寒い家になるのか徹底調査しました。
【サウザー邸詳細】
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寒いと感じてもC値=0.3㎠/㎡!高気密住宅のスキマを調査
冬のお風呂場でお子さんが泣くほど寒さを感じるサウザー邸の気密性能を測定したところ、C値は0.3㎠/㎡とかなり高気密という結果が出ました。
αA(相当隙間面積)も34㎠しかないため、家中のスキマを合わせても一辺が6㎝未満の正方形ほどしかありません。
気密測定の後、熱画像カメラで確認してみたもののスキマになりやすい小上がりの巾木も最低温度で約23℃とかなり暖かいことがわかります。
他にも基礎と土台の間にスキマがないか風速計で調べてみたところ、結果は0m/sとイエのサプリの調査ではスキマ風を発見できませんでした。
この後も家中を徹底調査したところ、スキマ風を感じる箇所を2か所発見しました。
玄関の土間
熱画像カメラで家中を調査した際に、玄関下部に最低温度が他よりも低い箇所を発見しました。
風速計で調べたところ最大の風速が0.29m/sとなっていて、スキマ風が発生していることがわかりました。
高気密住宅ではスキマがない分、些細なスキマから大量の冷気が侵入してしまいます。気密性能を上げるには、出入口となるスキマを見つけて塞ぐことが重要です。
※イエのサプリ編集部では、リカバリーを推奨しているわけではありません。リカバリーをする際は専門家に相談の元、自己責任で実施してください。
第一種換気の室内ガラリ
サウザー邸では24時間換気に第一種熱交換換気を採用しています。熱交換換気は排気から熱や湿気を取り出し、給気した空気へ移せる換気システムです。
ただし、100%の熱を移せるわけではありません。そのため、排気する空気が冷たい場合、さらに冷たい空気が室内に給気されてしまいます。
サウザー邸では外気温が0℃と想定された場合、排気が約13℃であれば、約10℃の冷気が室内に給気される場合があると考えられます。

寒さ対策のために第一種熱交換型換気を選ぶ方も多くいますが、排気温度によってはかえって室内を寒くする原因となる場合があります。
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第1種換気と第3種換気に必要な気密性能(C値)を徹底解説!
C値=0.3㎠/㎡の高気密住宅で改善すべき2つの住宅性能
快適な家づくりをするには、気密性能以外にも高めていくべき性能があります。イエのサプリでは、夏に涼しく・冬に暖かい家の5大要素として「高気密」「冷暖房」「計画換気」「高断熱」「小屋裏換気」を掲げています。
サウザー邸は気密性能が高い一方で、断熱性能と冷暖房(暖房設備)に問題がありました。
断熱性能|断熱等級が等級4しかない
今までの断熱等級には等級4までしかなく、等級4でも最高クラスと言われる時代がありました。しかし2022年から等級5、6、7が新設され、等級5以上が推奨されています。
サウザー邸では窓に断熱性能の高い樹脂サッシを採用していましたが、屋根や壁の断熱材の厚みはギリギリ等級4をクリアできる程度しかありませんでした。
高気密住宅なので断熱性能が低くても一定の室温を保てますが、暖かい家にするには断熱性能も高めていく必要があります。
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暖房計画|27坪に6畳用のエアコン一台
高気密住宅では1台のエアコンでワンフロアの空調を管理できますが、ドアなどで遮られてしまう場合、部屋ごとに温度差が出てしまうこともあります。
特に第一種熱交換型換気を採用した場合、エアコンのない部屋の排気からも熱を取り出すため、家の中に温度差ができてしまうとサウザー邸のように冷えた居室の空気が暖かいリビングにリターンされてしまいます。
気密性能の高い家では各部屋にエアコンを設置する必要はありませんが、ドアの有無や空気の流れを考慮して必要台数を設置するなどの暖房計画が重要です。
高気密住宅にするための家づくりのインタビュー
最後に高気密住宅をつくるポイントや大変だったこと、よかったことについてインタビューしました。
- ハウスメーカーの決め手
- 家づくりで大変だったこと・後悔ポイント
- 賃貸から戸建にして良かったこと
これから家づくりをする際の参考にしてみてください。
ハウスメーカーの決め手とは?
ハウスメーカー選びは高気密住宅をつくるのに最も重要です。サウザーさんは小さい工務店への依頼が不安で、全国展開のハウスメーカーを選びました。
全国展開のハウスメーカーへ依頼し、サウザー邸では高気密になりましたが、大手に依頼すれば高気密住宅ができるわけではありません。イエのサプリでは、大手ハウスメーカーによる気密性能の低い住宅も多数紹介してきました。
そのため、企業の規模ではなく過去の実績をもとに判断する必要があります。
また、サウザーさんはハウスメーカーのモデルハウスが暖かかったため、同じように暖かい家だと思い購入をしたとのことでした。ただ、モデルハウスを見学する際は、家の後ろに室外機がどのくらい設置されているかもチェックしましょう。モデルハウスが夏に涼しく、冬に暖かくても、家の性能ではなく大量に設置されたエアコンのおかげだったということもあります。
家づくりで大変だったこと・後悔ポイント

家づくりで大変だったことや後悔ポイントでは、営業の話と現場の話の齟齬などを挙げていました。
【一例】
- 屋根の高さが合わないためダクトを変更
- 高さが合わないため照明を変更
- 打ち合わせした内容について現場の大工さんに話してほしいと言われ、話したのに「聞いていないことは対応できない」と言われる など
40万円分のポイントがもらえる関係で、工務店を急いで決めてしまったことを後悔しているようです。営業と現場で齟齬が発生することもあるので、住宅性能やデザインなどは契約時の書類にできる限り記載しておくようにしましょう。
賃貸から戸建にして良かったこと
最後に賃貸から戸建にして良かったことを聞きました。
- 高気密&樹脂サッシで窓の結露がなくなりカーテンがベタベタにならなくなった
- 電気代が9,000円程度に納まり、ソーラーパネルの売電で1.9万円の収入を得られるようになった
- 希望の間取りで理想の暮らしができるようになった
サウザー邸では「ぱっと見えるところには物を置かない」という生活をするため、扉のある収納やクローゼットのない間取りで家づくりを進めたようです。
工務店には「こんな家はない」と言われたものの、反対を押し切って扉付きの収納をなくしたことで、見た目もすっきりとして希望していた理想の暮らしを実現しました。
夏に涼しく冬に暖かい家は、複合的な要素により成り立ちます。そのため、家づくりではひとつの性能だけではなく、全体的な性能を引き上げる必要があります。
イエのサプリでは、夏に涼しく冬に暖かい家を作るために必要な性能として、「高気密」「冷暖房」「計画換気」「高断熱」「小屋裏換気」の5つを提示しています。
これから家づくりを始める人は、ぜひこの5つの性能を念頭に置き、全体的な性能を引き上げる家づくりをしていきましょう。
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