チャンネル登録をよろしくお願いします!
こんにちは、日本住環境 イエのサプリ編集部です。
このブログでは良い家づくりに必要な情報を丁寧に解説していきます。
これから家を建てたいと考えている一般の方はもちろん、実際に家づくりに携わっている方にも「タメ」になる情報をお届けします。
平屋住宅は、家事動線の作りやすさやバリアフリー、デザイン性などから、年々人気が高まっています。
住宅性能の面では「平屋は寒い」と言われることもありますが、施工次第で気密性能の高い家を作ることも可能です。
今回はおしゃれな平屋で生活する白い平屋さんのお宅の気密性能をチェックしていきます。リカバリーによる気密性能の変化やどのようなリカバリーを行ったのか、家づくりでやってよかった・やらなければよかったことについてもインタビューしていきます。
※イエのサプリ編集部では、リカバリーを推奨しているわけではありません。リカバリーをする際は専門家に相談の元、自己責任で実施してください。
目次 [表示させる]
おしゃれ平屋の性能を丸裸!床下リカバリーの効果を検証
今回、丸裸にした住宅では、中間気密測定や完成気密測定をしていませんでした。イエのサプリ編集部が検証した時は既に床下のリカバリーを行った後でしたが、気密測定をしてみると結果は驚きの「C値=0.9㎠/㎡」!
実際にスキマがないのか煙を使用したフォグ試験で床下のスキマを検証したところ、コンセントや巾木などスキマ風が発生しやすい部分からの漏気がありませんでした。
工務店の丁寧な施工に加え、スキマ風が気になる部分については施主である白い平屋さんが、以下のような床下リカバリーを行い、床面のスキマを徹底的に埋めました。
- 巾木にアクリル系のシーリングでコーキング
- 土間の框にできたスキマをコーキング
- 配管のスキマを気密テープ・パテ・ウレタンで処理
- 床下のスキマをテープ処理
- 水抜き穴を防虫用パテで処理
リカバリーを行ってから、床下からのスキマ風を感じなくなり効果を実感できたとのことです。
床下でスキマになりやすい部分については、以下の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
高気密住宅にするため床以外にチェックすべきスキマのポイント
今回、検証した平屋では床からの漏気はほとんどありませんでしたが、壁からのスキマ風や天井の断熱欠損が部分的にみられました。
ここでは、床をリカバリーした後にチェックすべき箇所について実際の検証結果とあわせて紹介します。
ダウンライト
白い平屋さんのお宅では、おしゃれなダウンライトを多数採用していました。ダウンライトはデザイン性が高い代わりに、天井断熱の場合には断熱層や気密層の連続性を途切れさせ、欠損やスキマの原因を作るリスクがあります。
そのため、断熱層や気密層の連続性を維持するためにも、ダウンライトに断熱ボックスが設置されているかチェックしましょう。
断熱ボックスは、施工している工務店やハウスメーカーによって作り方が様々です。断熱材を組み立てて作るケースもあるので、依頼前に確認しておくことをおすすめします。
天井・壁の間仕切り壁
床からの漏気がない家でしたが、一方で間仕切り壁からは一定のスキマ風が入り込んでいました。
風呂場の天井裏を確認したところ、ティッシュが軽くなびく程度の漏気が発生していました。漏気の原因を探ってみると、壁の袋入り断熱材が縦挿しに詰められていることが発覚しました。
通常袋入り断熱材は通常、防湿性のあるビニール面を外側にした状態でU字に折って敷き詰めていきます。
また、袋入り断熱材同士の間は気密層の連続性を保つため気密テープによる処理が必要です。
気流止めのいい例と悪い例については、以下のブログで詳しく紹介中です。
あらわし梁(化粧梁)
あらわし梁(化粧梁)は、主要構造部材である梁をそのまま使用する場合と主要構造に関係ない化粧木材を使用する場合の2ケースがあります。
主要構造である梁をそのまま使用するケースでは、柱と壁の連結部にスキマができやすく注意しなければいけません。
白い平屋さんのお宅では主要構造部材が使用されていて、熱画像カメラで確認したところスキマができているのが確認できました。
検証時が夏だったため、熱気が室内に流れ込んでいるのがわかります。
あらわし梁はデザイン的にも人気ですが、気密性能を重視して採用したい場合は、主要構造部材ではなく化粧梁を採用することも検討しましょう。
コンセントボックスまわり
天井を熱画像カメラで確認したところ、天井のコンセントからも断熱気密欠損が見られました。
天井のキワ部分で施工しづらいものの、専用の気密部材(コンセントボックス)を設置するなど、丁寧に断熱気密層を連続させる必要があります。
吊木まわり
家中の天井を見ると部分的に吊木部分の断熱・気密欠損を発見しました。
吊木とは、仕上げ材を止め天井野縁を支える木材です。吊木は断熱材に対し垂直に組まれているため、めくれたりしないように敷き詰めていく必要があります。
しかし、白い平屋さんのお宅では、熱画像を元に天井を確認すると一部めくれていることが発覚しました。
本来であれば断熱材を追加で補填し、スキマを埋める必要があります。1つ1つのスキマは小さいかもしれませんが、吊木すべてになるとかなり大きなスキマになるので、高気密住宅を作る際の要チェックポイントです。
1年後にリカバリー!平屋での暮らしの変化は?
丸裸の検証から1年後。リカバリーを続けてきた白い平屋さんに、平屋での暮らしの変化についてインタビューしてきました。
【1年間で行ったリカバリーまとめ】
- お風呂の気流止めの再施工(縦挿しになっていた断熱材の入れ直し)
- ダウンライトの気密処理
- 天井断熱に100㎜の繊維系断熱材を付加
- 床と巾木のすきまなどシーリングを全面に実施
このようなリカバリーにより、40℃近い猛暑日でも家の中に入ると快適とのことでした。
様々なリカバリーをした白い平屋さんですが、本格的な脚立購入などを含め費用は総額10万前後だったそうです。
平屋の家づくりでやってよかったこと・やらなければよかったこと
これから家づくりを考えている人に向け、おしゃれな平屋を建てた白い平屋さんに「やってよかったこと」と「やらなければよかったこと」をインタビューしました。
平屋の家づくりでやってよかったこと
家づくりで特にやって良かったことは、第三種換気にしたことで清掃コストを抑えられたことだそうです。
第三種換気は第一種換気とは異なり、給気にダクトや換気システムを使わないため、第一種換気と比較して清掃コストを抑えられます。
▲こまめな掃除が苦手な人は第三種換気がおすすめです(ただし、第三種換気も必ずメンテナンスは必要です。)
また、白い平屋さんのお宅は内装もおしゃれですが、自分達の心地いいデザインを採用することで、新築1年経過した今でも帰って来た時の楽しみや安心感は変わらないそうです。
「毎日帰るのが楽しみ」「安心できる」と思える住宅づくりをするには、住宅性能とあわせて飽きのこない住宅デザインも重要になります。
やらなければよかったこと
白い平屋さんのお宅では「室内から掃除できる窓がいい」という家族の要望から引き違い窓を多用しましたが、後悔ポイントとして挙げています。
引き違い窓は多くの人が採用しますが、仕様上、台風や大雨の際に水抜き穴から水が入ってきたり、何もない日でも虫やホコリが入ったりして、現在では工務店に相談の上で水抜き穴を塞いでしまったようです。
また、引き違い窓を多く採用したもののほとんど開閉はしないため、窓を少なくするかfix窓で良かったかなと少し後悔していると話してくれました。
白い平屋さんに限らず、丸裸の際にお施主にインタビューすると、窓に関する後悔は多く聞きます。窓の種類によって気密性能は変わりますし、「開閉窓をつけたけど、結局開けなかった」などの話もよく聞くため、高気密な家を作るのであれば窓の数や本当に開閉するかをよく考える必要があります。
今回はリカバリー済みのおしゃれな平屋の気密性能を検証していきました。もともと一定の気密性能のある住宅ですが、リカバリーにより気密測定ではC値=0.9㎠/㎡を達成!元の建売住宅では冬に寒い思いをしていた白い平屋さん一家でしたが、新築に住んだことで夏も冬も快適な上に、帰るのが楽しみな家を作ることに成功しました。
今回のブログや動画を、平屋でも平屋ではなくても、帰るのが楽しみになる家づくりの参考にしてみてください。
気密性能が高い施工について学びたい方はこちら
新築の平屋で後悔…絶対に知っておきたい高性能住宅をつくるハウスメーカー・工務店の特徴