【換気システムのメリット/デメリットまとめ!【結論】ノーメンテ/フリーメンテは存在しない!】
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こんにちは、日本住環境 広報部(イエのサプリ編集部)です。
このブログでは良い家づくりに必要な情報を丁寧に解説していきます。
これから家を建てたいと考えている一般の方はもちろん、実際に家づくりに携わっている方にも「タメ」になる情報をお届けします。
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前回のNJKブログ「換気の種類を比較しながら解説!ダクト式とダクトレスはどっちがおすすめ?」では、4つの換気システムの特徴やパイプファンの種類について比較しながらお伝えしてきました。
今回は更に踏み込み第1種換気、第3種換気、ダクトレス換気のデメリットや問題点に焦点を当てて解説していきます。
また、換気システムの選び方や比較する際に注目すべきポイントについても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
第1種換気を設置するデメリット

第1種換気は給排気を機械で行う換気システムで、熱交換器を設置することで真冬や寒冷地でも部屋の温度を保ったまま換気できるのが特徴です。そんな第1種換気のデメリットについて紹介します。
イニシャルコスト・ランニングコストが多くかかる
第1種換気を設置する際に、大きなデメリットとなってくるのがコスト問題です。
第1種換気は給排気を機械で行うため、給排気の機械そしてそれらをつなぐダクト、熱交換器が必要になります。排気のみ機械で行う第3種換気と比較すると、単純に倍のコストがかかってしまいます。
また、40坪を超える家に設置する場合には2台必要になってくる場合もありますので、家が大きければ大きいほど負担も増えてしまうでしょう。
ランニングコストでは、月の電気代が数千円ほどになり、月額数百円で賄える第3種換気と比較してコストの負担は大きくなってしまいます。
結露や汚染空気がリターンする可能性がある
第1種換気の中でも、全熱交換型は空気中の水蒸気から熱を回収してそれを室内側へ戻すという優秀なシステムです。
優秀な反面、熱を回収した際に取り込んだホルムアルデヒドなどの化学物質や汚染された空気が、給気に混ざってしまうリスクがあります。
これは熱交換器の中で、排気したはずの汚染空気が給気に交じって室内に供給されてしまった事例です。
最近ではこのような問題もほとんどありませんが、第1種換気を設置するのであれば念のため工務店さんに、このような問題について心配はないか確認するようにしましょう。
第3種換気を設置するデメリット

第3種換気は自然に給気し、機械を使って排気していく換気システムです。
毎月の電気代が月で数百円ほどと安く、メンテナンスも簡単なため多くの家で利用されています。
そんな第3種換気のデメリットについてみていきましょう。
【よくある誤解】
A.第3種換気は虫が入ってしまいますか?
Q.正しい防虫対策ができていればそれほど不安になる必要はありません。
虫が入ってくる経路や正しい防虫対策については、次のQA動画を参考にしてみてください。
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排気による熱損失が大きく寒冷地で不利になる
第3種換気は第1種換気とちがい、排気する空気から熱を取り出し再利用することができません。
なので、熱をもった空気をそのまま排気してしまうこととなり、排気した時の熱損失が非常に大きいのがデメリットです。
東北や北海道のような寒冷地では、暖房費が少しあがってしまったり、寒さを感じてしまったりするかもしれません。
冬は給気で部屋を寒くさせてしまう可能性がある
第3種換気は直接外気を入れることになるため、冬や寒冷地では排気の時だけではなく給気した際にも寒さを感じてしまうかもしれません。
もちろん冷気対策ができているメーカーありますが、できていないメーカーもあります。
冷気が入り給気口や給気口付近の壁が急激もに冷やされてしまうと結露を引き起こしますので、第3種換気を検討している人は、給気口の寒冷対策はしっかりされているかをよく確認するようにしましょう。
ダクトレス換気(局所排気型壁付けファン)にも問題点が多い!

第1種換気ダクトレス・第3種換気ダクトレスはダクト配管にかかるイニシャルコストを削減し、ダクトのメンテナンスの負担もなくなるため、イニシャルコスト面で1番負担が少ない換気システムです。
ただし、性能面では問題点の多い換気システムでもあります。ここでは、どこに問題があるのかをみていきましょう。
風圧などの影響が大きく換気量が不安定になりやすい
排気の際に使用する壁付けファンには、一般的にプロペラファンが利用されますが、プロペラファンはパワーが弱いため強風時は換気扇が止まってしまったり、逆流してしまったりするといった問題があります。
また、家の気密性能が高いと、室内圧(負圧)にファンのパワーが負けてしまい、換気量が通常の半分ほどになってしまうのです。
平成16年11月の北海道住宅新聞の記事では、室内圧がかかった際に検証したごく普通のパイプファンの換気が半分の15㎥/hという結果が掲載されていました。

必要換気量の目安は家族1人に付き30㎥/hです。計測結果のような15㎥/hでは1人分にまったく足りていないことがわかります。
このような問題を解決するには、通常のプロペラファンではなく、ターボファンや高静圧ファンなどパワーの強いファンを選ぶことがポイントです。
ただし、数値上で必要換気量がとれても、局所的な換気となるためダクト式のように家全体をしっかり換気するのが難しい場合もあります。
実際にパワー負けしてしまったプロペラファンの検証動画がありますので、参考にしてみてください。
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換気経路があいまいで必要換気量の確保が難しい
ダクトがないことで換気経路があいまいになってしまうのも、ダクトレス換気の問題点の1つです。
例えば、排気口を家の北側に設置し、給気口を反対側の南に設置することで、家の中を空気が通り抜けるような換気経路に設計していても、気密性能の低い家では設計された換気経路を外れ、排気口の近くのスキマから給気し、家の中を通らずに排気されてしまうことがあります。
このような現象をショートサーキットといい、排気された空気が給気にまざったり、特定の場所でしか空気が動かず排気されない空気が室内に留まり、汚染濃度が上がってしまったりします。

ショートサーキットにより、換気経路が乱され必要換気量がとれなくなると、結露によるカビやシックハウス症候群を招きます。
換気経路について詳しく知りたい方は下の動画【間違った換気をしていませんか?換気設計の重要性を解説【Q&A】】を参考にしてみてください。
冷気対策ができておらずファンの中で結露する可能性がある
ダクトレスの第3種換気では、外気が直接入ってくるため冬や寒冷地では寒さを感じてしまう可能性があります。
多くのメーカーでは冷気が直接入ってこないようなフィルターや対策のとれた形状にしていますが、安価なものだと冷気が直接入ってきてしまい、なかには給気口内で結露する問題も発生しています。
後悔しない換気システムを選ぶには…
第1種換気、第3種換気、第1種・第3種ダクトレス、それぞれにメリットやデメリットがありますが、デメリットを見るとさらに迷ってしまう人もいるのではないでしょうか。
ここでは、後悔しないための換気システムを選んだり、比較する際のポイントについて紹介します。
メンテナンスのしやすさで選ぶ
換気システムは機械なので、初期性能を維持したまま稼動させるには定期的なメンテナンス・掃除が重要です。
メンテナンスを怠ると写真のように、フィルターにホコリがびっしりとこびりついて目詰まりを起こしたり、カビが生えてしまうことがあります。
メンテナンスは、本体だけではなく給気口のフィルターまで行わないと換気性能は落ちますし、ホコリがびっしり詰まったフィルターやカビが生えたフィルターを通過した空気を吸いこむことになります。
実際にメンテナンスできていない換気システムの換気量を測定したところ、0㎥/hというケースもありました。
ただ、換気量が少なかった(足りなかった)家でも、メンテナンスをするだけで換気量が改善しますので、換気システムを選ぶ際は性能やメーカーだけではなく、メンテナンス・掃除のしやすさでも比較してみてください。
メンテナンス方法や頻度はメーカーによって変わるので、簡単にメンテナンスできる換気システムを選べば、設置した後は手間をかけずに初期の換気性能を維持することができます。
どういう住まい方をしたいかで選ぶ
換気システムを選ぶ際、今後どういった住まい方をしたいのかで比較するのもおすすめです。
例えば、寒冷地に住んでいるから換気で寒さを一切感じないような生活をしたい人は、第1種換気がおすすめですし、メンテナンスは面倒くさいからできるだけ手間をかけない生活をしたいのであれば第3種換気がおすすめです。
その地域や家族の事情などで、希望の生活スタイルは1人1人ちがうので、家族と工務店とでよく話し合い決めるようにしましょう。
今回は第1種換気と第3種換気のデメリット、ダクトレス換気の問題点について紹介しました。
どの換気システムにもメリット・デメリットがあるので、下の表を参考にしながらよく検討することをおすすめします。
換気を正常に稼動させるには、どのような換気システムでも家の気密性能が大きく関係します。スキマだらけの家では、換気経路が乱されダクト式であっても必要換気量をとれないこともあります。
換気システムを選ぶ際は、工務店にC値はどのくらいか実績はどうかぜひ質問してみてください。
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