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2021.07.30
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ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)でも省エネにならない?住宅をつくる5つのポイント

【悲報】ZEH住宅 寒い

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こんにちは、日本住環境 広報部(イエのサプリ編集部)です。

このブログでは良い家づくりに必要な情報を丁寧に解説していきます。

これから家を建てたいと考えている一般の方はもちろん、実際に家づくりに携わっている方にも「タメ」になる情報をお届けします。

新築やリフォームを検討する中でZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)という言葉を耳にする人も多いのではないでしょうか。

ZEHとは、断熱性能の向上や高効率な設備により室内環境を維持しエネルギーの消費を抑えるとともに、創エネにより年間のエネルギー消費量の収支をゼロにすることを目的とした住宅です。

ただし、ZEHであれば必ずしも高性能住宅が手に入るというわけではありません

ごく稀に断熱気密に関する知識が少なく、間違った施工を行ってしまい、住宅に不具合が発生してしまったというケースもあります。

実際にあった事例としては、気密シートを張る順番を間違えたことで、施工中にも関わらずすでに結露が発生してしまったという現場もありました。

ZEH基準に基づいて住宅づくりをすることで多くは省エネ・健康・快適な住宅につながりますが、ちょっとしたミスや誤解により、増エネ・不健康・不具合のある住宅になる可能性もあります。

そこで今回は、ZEHで住宅を建てたい人が失敗しないために知っておくべき5つのポイントについて紹介します。

【目次】

1.ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは

2.ZEHで光熱費は本当に安くなる?

3.ZEHでより省エネで快適な住宅をつくる5つのポイント

 3-1.①C値が1.0㎠/㎡を下回っている

 3-2.②気流止めの処理がされている

 3-3.③屋根小屋の断熱処理のチェックポイント

 3-4.④結露対策がしっかりと行われている

 3-5.⑤24時間換気が成立している

4.まとめ|ZEHで快適な住環境を手に入れたい人へ

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは

ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス、通称ZEH(ゼッチ)では、具体的には以下のような住宅をZEHの定性的な定義としています。

"外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギー等を導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅"

引用:ZEHの定義(改定版)|経済産業省 資源エネルギー庁


この中でも一次エネルギー消費量を年間で正味ゼロもしくはマイナスになる住宅を「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(通称:ZEH)」と呼び、消費量をゼロに近づけた住宅を「ニアリー・ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(Nearly ZEH)」と呼びます。

また、都市部狭小地に建てられ、外皮の高断熱化や高効率な省エネルギー設備を備えた住宅を「ゼロ・エネルギー・ハウス指向型住宅(ZEH Oriented)」 と呼び、それぞれでUa値などの基準が設けられています。

2030年までに新築住宅の平均でZEHを目指すという政府目標があり、条件を満たしていれば、新築やリフォームする際に補助金を受け取ることも可能です。

ZEH住宅 補助金2021年

(引用:ZEH補助金 - 環境共創イニシアチブ 2021年版)

ZEHで光熱費は本当に安くなる?

基本的に正しい断熱気密の知識を持つ工務店やハウスメーカーに施工してもらえれば、一次エネルギー消費量ゼロもしくは削減を目指して建てられるため、省エネで光熱費のかからない住宅になります。

しかし、気密断熱についてあまり知識のない工務店などに依頼してしまった場合、ZEHといっても省エネになるとは限りません

ZEHでは断熱性能(Ua値)の基準はありますが、気密に関する基準がないため、断熱性能は高いものの気密性の低い住宅ができてしまう可能性があります。

気密が低くなるとスキマ風が発生するだけではなく、断熱材の効果を低下させます。実際に高気密と無気密(気密がとれていない)で比較実験をしたところ、以下のような温度低下がみられました。

高気密・無気密による温度変化の比較実験

※外気より5℃下げた空気を外側から当て、時間をおいて撮影した写真。無気密(左)と高気密(右)で温度差がはっきりと表れた。

特にロックウールやグラスウールなどの繊維系断熱材は、静止空気を閉じ込めておくことによって断熱効果を発揮するため、スキマ風によって空気が移動してしまうと、断熱材の意味がなくなってしまいます。

結果として、必要以上にエアコンを使うことになり、せっかくの省エネ住宅なのに光熱費が安くならないなどのトラブルが発生します。

では、住宅をつくる際にどのようなことに注意すればいいのでしょうか。

ZEHでより省エネで快適な住宅をつくる5つのポイント

ZEHでも省エネではない住宅ができてしまう可能性について紹介しましたが、ポイントさえ踏まえれば、より省エネで快適な住宅をつくることも可能です。

ここでは、住宅をつくる際のポイントについて、トラブル例を紹介します。

C値が1.0㎠/㎡を下回っている

先程も紹介した通り、省エネで快適な住宅を目指す際に気密はとても重要です

気密はC値(相当隙間面積)で表され、数値が大きければ大きいほど住宅にスキマがあると判断されます。

工務店やハウスメーカーの中には、C値2.0㎠/㎡で高気密と説明されることもあるようですが、実際に住んでみると少し寒さを感じるはずです。

実際にC値2.0㎠/㎡の住宅を調査したところ、下の熱画像のように、畳の隣接する部分やコンセントボックス、巾木から冷気がどんどん入ってきているのがわかります。

畳からのスキマ風C値2.0㎠/㎡の住宅
住宅のトラブル例、コンセントボックスからのスキマ風

C値は、1.5㎠/㎡でも気密が良いとは言えません

下の図は、引き渡し1年後の住宅ですが、乾燥でクロスが裂け外気がどんどん入ってきてしまっています。

住宅のトラブル例、天井からのスキマ風 

この住宅では、気流止めがされておらず、適切な気密処理がされていませんでした。

適切な気密処理がされていないと経年変化の影響を大きく受けてしまい、たった1年でスキマ風がたくさん入る住宅となってしまう可能性があります。

C値は0に近づけることが理想とされ、1.0㎠/㎡を下回る住宅であれば気密はよいと言えます。快適で省エネの住宅を手に入れたいのであれば、まずは1.0㎠/㎡以下を目指しましょう。

なおC値は建設前に決めることはできません。C値の測定方法はこちらの記事「徹底解説!気密測定の方法」を参考にしてみてください。

C値1.0㎠/㎡以下の住宅にするなら配管・配線周りも確認しよう

住宅の配管・配線まわり 

配管や配線は壁に穴をあけて住宅中を通すため、適切な気密処理がされていないと、穴あき住宅になりかねません

ひとつひとつの穴は大きくありませんが、10から20本ほどの配管や配線がはしっているため、簡易型発泡ウレタン(一液タイプ)や気密テープなどで確実に埋めていく必要があります。

下の写真は配管や配線周りの処理がされておらずスキマがあいたままになってしまっている例です。

住宅のトラブル例 配管まわりの処理不足により住宅に穴があく

配管や配線のスキマは、見えづらい部分になりますが、確認せずにこのような状況で引き渡されてしまうと、大きな穴のあいている住宅になってしまいます。

C値=1.0㎠/㎡以下の住宅づくりを目指す場合、必ずチェックするようにしましょう。

気流止めの処理がされている

入ってきたスキマ風を止めるために、気流止めがしっかりされていることも、省エネで快適な住宅には重要です。

気流止めのされていない家のイラスト

上の図は、気流止めがされていない住宅のイラストです。

気流止めがされていない住宅では、外気が間仕切り壁を通過して、冬は寒く夏は暑い空気が住宅全体を循環します。

コンセントボックスやスイッチボックスにスキマがあれば、間仕切り壁の中を循環する外気が部屋の中まで入り込み、スキマ風としてさまざまな不具合を生み出してしまうのです。

屋根小屋の断熱処理のチェックポイント

屋根小屋も確認しづらい部分になるため、必ずチェックが必要です。下の写真は、気流止めがされておらず、気密層のない小屋裏になります。

断熱材のトラブル例

壁断熱の施工ルールでは、30mm以上袋の耳もしくは気密シートをタッカー留めしテープ処理するなどして、張りあてる処理が必要です

写真のような施工では、壁の断熱材が桁の30mmまで設置されていないため、気流止めの役目を果たしません。このままだと室内側から上がってきた気流が全部小屋裏に入り充満し、結露が発生してしまいます

小屋裏を見ることはあまりないかと思いますが、非常に重要になります。

結露対策がしっかりと行われている

ZEH基準で高性能な断熱材を入れたものの気密が低く通気が悪いと、結露を発生させてしまうリスクがあります。

実際に1980年代前半の北海道で多発した「なみだ茸事件」では、断熱性能だけを上げすぎた結果、強力な腐朽菌を発生させてしまいました。

北海道なみだ茸事件

※床下に大量発生したなみだ茸。床を踏むと新築でもクッションフロアに乗っているようなほど。

この事件では、床下に腐朽菌が発生し床が落ちてしまっただけではなく、壁内に大量のカビを発生させました。もちろん、人体にも悪影響を及ぼします

高断熱住宅を建てる際は、必ず結露対策が必要です。結露対策には、主に以下のような5つの方法があります。

  1. 専門家による現場木材の保存処理の対応・採用する
  2. 透湿抵抗の高い建材を寒い側(外側)に使用せず、外側はできるだけ空気が抜けていくような考えを持つ
  3. 室内側に透湿抵抗の高いベイパーバリヤーを使用し、できるだけ水蒸気をとるようにする
  4. 外壁に通気層を設置する
  5. 床下の木材・残材などカビや腐朽菌の餌になるような有機物を除去する


注目してほしいのは③と④です。難しい話に聞こえますが、要するにこれは、室内側には防湿気密シートを使用し、外側は通気層工法を採用してくださいという意味になります。

このことを内気密外開放といい、昔から高気密高断熱、結露対策として有効な方法であると考えられています。

24時間換気が成立している

建築基準法ではシックハウス対策として、換気設備設置の義務付けがされています。しかし気密性能が低い住宅では、計画換気が成立しないことも珍しくありません

気密と換気は密接に関係しており、気密が高ければ高いほど、正常な換気を実現できます。下の図は、気密と換気の関係をグラフにしたものです。

気密が高く住宅のスキマが少ないほど(C値が0に近いほど)、給気口からの給気量が100%に近づきます。

気密と換気のかかわり

逆に住宅のスキマが多くC値の数値が高くなってしまうと、給気口からの給気量は落ち、スキマから給気されてしまい、計画換気の邪魔をします。

下の図のように、不規則な場所からさまざまな量の風が入り込んでしまうと、排気口近くの空気ばかり排気されてしまい、排気口から遠い空気は汚れたまま、留まり続けてしまうのです

換気が成立しないと汚れた空気を排気できないので、臭いが留まってしまうだけではなく、シックハウス症候群の発症リスクを高めます

実際に、シックハウス症候群を発症してしまった方の住宅の換気量を計測してみましたので、参考にしてみてください。

計画換気が成立しなかった場合のリスク

住宅には、必要換気量が定められており、住宅の容積(住宅の床面積×天井の高さ)の半分の量を1時間に排気できるよう換気設計を行う必要があります。

シックハウス症候群を発症させてしまった方の住宅には、50㎥/h換気できる4つの排気口と5つの給気口が設置されており、1時間あたりの必要換気量131.78㎥/hを換気できる設計でした。

住宅トラブル例 シックハウス症候群のリスクが高い換気設計

しかし、計測してみたところ、排気口からは22㎥/h、42㎥/h、8㎥/hとどれも50㎥/hに達しておらず、なかには0㎥/hの排気口もありました

1時間あたり131.78㎥の必要換気量に対し、実測換気量は72㎥/hとほとんど足りていません。

また、5つある給気口からの給気量を計測したところ、合計で0㎥/hと給気口から空気が一切入っていないという結果になりました。

シックハウス症候群を発症した原因が換気だけという因果関係はありません。しかし、換気が成立しておらず不衛生な空気の中での生活が関係している可能性は十分に考えられます。

とめ|ZEHで快適な住環境を手に入れたい人へ

日本でも住宅の断熱グレードが少しずつ上がっており、おおよその住宅では等級4をクリアし、一定の断熱性能のある住宅に住めるようになりました。

しかし、断熱だけでは解決できない問題も多くあります

ZEHには断熱性能の基準が設けられていますが、気密のことも忘れてはいけません。気密は断熱性能を保護するだけではなく、計画換気を維持したり、結露を防止したりする役目もあります。

高性能で省エネな住宅に住むためには、断熱・気密・換気のすべてを検証する必要があります。住宅を建てる際は、この3つを念頭に置き、ZEHビルダーへ住宅性能についてよく確認しましょう。

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