気密に不慣れな工務店で建てた高気密高断熱住宅を徹底調査! NJK BLOG

2024.02.21
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気密に不慣れな工務店で建てた高気密高断熱住宅を徹底調査!

【注文住宅】施工に不慣れな工務店の高気密高断熱住宅を丸裸にしてみた

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こんにちは、日本住環境 広報部(イエのサプリ編集部)です。
このブログでは良い家づくりに必要な情報を丁寧に解説していきます。
これから家を建てたいと考えている一般の方はもちろん、実際に家づくりに携わっている方にも「タメ」になる情報をお届けします。

 

・夏でも冬でも室温を一定に保てる

・エアコンが効きやすく節電につながる

・ヒートショックやシックハウス症候群など健康被害を受けにくい

・結露が発生しにくく家が長持ちしやすくなる

など、家にも住む人にもメリットが豊富な高気密高断熱住宅

しかし、「高気密高断熱」については、明確な定義や数値基準も無いため、工務店やハウスメーカーによって考え方や知識量にばらつきがあります。

そのため、高気密高断熱住宅を建てたつもりでも、実際に住んでみると冬場の寒さやスキマ風に悩まされるケースも少なくありません。

この記事では、高気密高断熱住宅についての基礎知識や、建てる際に気をつけるべきポイントについて、実際の住宅を例に解説していきます。


目次  [表示させる]
  1. 高気密高断熱住宅ってどんな家?前提条件の確認
  2. 高気密高断熱住宅の住宅性能を実際に調査してみた
  3. 本当に高気密高断熱住宅?性能を調査してみた
  4. 高気密高断熱住宅の24時間換気は機能している?
  5. 高気密高断熱住宅のおすすめ設備・仕様
  6. 高気密高断熱住宅をもっと長持ちさせる2つのポイント
  7. 高気密高断熱住宅を建てるための2つのポイント
  8. まとめ|家づくりで後悔しないために

気密高断熱住宅ってどんな家?前提条件の確認

高気密」と「高断熱」の基準は?

「高気密」にも「高断熱」にも国で定められた基準があるわけではありません。

気密性能は「C値(相当隙間面積)」で表され、0㎠/㎡に近いほどスキマの少ない家、つまり「高気密住宅」と判断されます。

工務店やハウスメーカーによって高気密とする数値はバラバラですが、高気密を謳うのであれば、やはりC値=1.0㎠/㎡以下が望ましいと言えます。

なぜC値=1.0㎠/㎡以下が良いかについてはこちらの記事でも紹介しています。

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日本の断熱性能の基準は1~7の7つの等級が設けられ、数字が大きくなるほど断熱性能が高いことを示します。

2021年までは等級4が最高等級であったため、等級4でも「高断熱」と謳う工務店もいましたが、この等級4は1999年の基準のため、現在では決して高断熱とは言えない状況です。

断熱等級は最低でも等級5以上の性能であることが望ましいでしょう。

地域区分や断熱等級についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。

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エのサプリが推奨する高気密高断熱の数値基準とは

■気密性は最低でもC値=1.0㎠/㎡以下であること

■断熱等級は最低でも等級5以上の性能であること

※断熱等級5が具体的にどの数値(Ua値)になるのかは、住んでいる地域によって変わります。


気密高断熱住宅の住宅性能を実際に調査してみた

高気密高断熱住宅の気密測定結果

【吉浦邸の住宅性能】

築年数:3ヶ月(撮影当時)

工法:木造軸組在来工法

延べ床面積:99㎡(30坪)

24時間換気:第1種ダクト式熱交換換気

断熱性能:Ua値=0.35(断熱等級6)

気密性能:C値0.4㎠/㎡

※中間気密測定0.34㎠/㎡、完成気密測定0.45㎠/㎡

※C値は0㎠/㎡に近づくほどスキマがなく、高気密な家になる。

 

気密測定の結果が中間、完成時ともに高気密の数値だった吉浦邸。

今回の取材でも改めて気密測定を行ったところ、やはりC値=0.4㎠/㎡と高気密の数値でした。

さらに、Ua値も0.35(断熱等級6)と高い断熱性能です。

当に高気密高断熱住宅?性能を調査してみた

吉浦邸を建築したのは気密施工には不慣れな工務店だったため、吉浦さん自身も住宅性能について学び、自ら施工方法の指導や資材の指定をしたそうです。

数値上は高気密高断熱住宅と言えそうですが、実際の住宅性能はどうなのでしょうか?

居室内の温度差を測る熱画像カメラや、スキマ風を発見できる風速計で住宅内の温熱環境を徹底調査しました。

1F-玄関ドア

高気密高断熱住宅の玄関ドア

高気密高断熱住宅の玄関ドア

玄関ドアやドア枠は外気に直接触れるため寒くなりやすい場所です。

しかし吉浦邸の玄関ドアはドア自体の性能が高く、ドア中央部付近では最低温度で19℃と寒さを感じません。

高気密高断熱住宅の玄関ドアのスキマ

木製ドア枠のキワはスキマができやすい場所ですが、スキマ風の流入は風速計で測っても許容範囲内のレベルです。

1F-トイレ

高気密高断熱住宅のトイレ

高気密高断熱住宅のトイレ-トリプルガラス窓

北側に位置しているにもかかわらず、寒さを全く感じません。

熱画像で青く見える部分であっても18℃あり、またトリプルガラスを使用していることから、窓からの熱損失もありませんでした。

1F-脱衣所・浴室

高気密高断熱住宅の浴室

同じく北側に位置する脱衣所と浴室も最低温度で18℃と、寒さを感じない空間になっています。

2F-壁と天井の取り合いの漆喰部分

高気密高断熱住宅-壁と天井の取り合いのスキマ

高気密高断熱住宅-壁と天井の取り合いのスキマ

漆喰が割れている部分からもスキマ風の流入は全くありません。

仕上げ材(漆喰)の外側の気密層がしっかり連続して施工されていることがわかります。

2F-壁の梁あらわし部分

高気密高断熱住宅-壁の梁あらわし部分のスキマ

高気密高断熱住宅-壁の梁あらわし部分のスキマ

梁あらわし部分は化粧木材を使わず、主要構造部材である梁をそのまま使用する場合、柱との連結部分にスキマができやすいため注意が必要です。

吉浦邸ではこの梁あらわし部分もしっかり気密処理がされていました。

2F-コンセントまわり

高気密高断熱住宅-コンセントボックスのスキマ

コンセントは断熱気密層を貫通して配線するためスキマができやすい場所ですが、こちらも風速計で測ってもスキマ風を確認できないくらい気密処理は完璧です。

2F-エアコンまわり

高気密高断熱住宅-エアコンまわりのスキマ

高気密高断熱住宅-エアコンまわりのスキマ

エアコンまわりからはわずかにスキマ風が確認できましたが、手をかざしてもほとんど風を感じないため許容範囲内と言えます。

1F-ガス乾燥機の配管まわり

高気密高断熱住宅-乾燥機の配管まわりのスキマ

今回の調査で唯一目立っていたのは、ガス乾燥機の配管まわりのスキマです。

断熱ダクト内の配管とプラスチックプレートの間にスキマができていましたが、コーキングや気密テープなどで簡単にリカバリーできる部分でした。

家事の時短につながり人気があるガス乾燥機ですが、配管部分をくり抜く際に大幅な断熱気密欠損が起こりやすい部分ですので、後付けで施工する場合は注意が必要です。

エアコン同様、必ず建築中に先行配管をするようにしましょう。

1階、2階ともに上記のガス乾燥機まわり以外には目立ったスキマはなく、気密欠損が起こりやすい場所もしっかりと気密処理がされていました。

気密測定の数値が表す通り、吉浦邸は高気密住宅と言えるでしょう。

気密高断熱住宅の24時間換気は機能している?

24時間換気システムの換気量を測定

住宅の24時間換気は建築基準法で、1時間あたり家の体積の半分である0.5回の換気が義務づけられています。

吉浦邸の換気回数は0.42 回/hと厳密には足りませんが、後述の二酸化炭素濃度の結果も踏まえ、おおむね問題ないと言えます。

酸化炭素濃度を測定

高断熱高気密住宅-二酸化炭素濃度

室内の二酸化炭素濃度の基準は1,000ppmを目安に、これ以下であれば室内の換気がなされており、問題なしと見なします。

結果はどの居室内も1,000ppmを超えておらず、換気は全く問題ありませんでした。

5名ほどの来客があったという日に一瞬だけ1,000ppmを超えていますが、この程度なら許容範囲内です。

調査結果:しっかり機能する換気システムとは

調査の結果、吉浦邸の24時間換気は問題なく機能していました。

吉浦邸は高気密なうえダクト式の第1種熱交換換気を採用しているため、換気経路がしっかり機能しています。

ダクト式は狙った場所の換気ができ、換気経路を設計しやすいことが特徴です。

住んでからのダクト式への変更は難しいため、家を建てる前にできるだけ情報を集め、工務店と話し合った上で納得のいく換気システムに決めることをおすすめします。

気密高断熱住宅のおすすめ設備・仕様

【注文住宅】3年勉強した施主のやってよかった設備・仕様【高気密高断熱住宅】

ここからは実際に吉浦さんが高気密高断熱住宅を建てるうえでこだわったポイントや、おすすめの仕様についてご紹介します。

は樹脂サッシ・トリプルガラス・FIX窓+開き窓に

高気密高断熱住宅-トリプルガラス窓

窓まわりは断熱・気密欠損しやすい部分です。高気密高断熱住宅にするためには、サッシ、窓ガラス、窓の種類と複合的に性能を上げていくことが重要です。

樹脂はアルミの約1000倍もの断熱性能を持っており、オール樹脂サッシにすることで窓から出入りする熱を大幅に減らせるうえ、室内との温度差をなくすことで結露対策にもなります。

吉浦邸では太陽光をとり入れやすい南側の大開口窓はダブルガラス、そのほかの窓はすべてトリプルガラスを入れています。

すべての窓にトリプルガラスを採用するとコスト面での負担が大きくなるため、このように予算に応じてとり入れることがおすすめです。

高気密高断熱住宅-トリプルガラス窓

また、よくある引き違い窓は、閉めていても召し合わせ部分にスキマができてしまい、寒さの原因となってしまいます。

吉浦邸のようにFIX窓(はめ殺し窓)+開き窓の組み合わせにすると、気密性能が格段に上がります。

関は木製のフラッシュドア(平らなドア)にし、壁の断熱材も厚い仕様に

高気密高断熱住宅-断熱性能の高い玄関ドア

ガラスの入った玄関ドアは採光がとれデザイン性も高いため人気ですが、ガラス部分からの熱損失が大きいことがデメリットです。

また、ドア枠がアルミ製の場合、この部分からも冷気が伝わってしまいます。

高気密高断熱住宅-断熱性能の高い玄関ドア

吉浦邸ではドア枠まですべて木製の厚みのあるフラッシュドア(平らなドア)を採用しており、熱画像カメラで見ても断熱性能が高いことがわかります。

気密性能・断熱性能ともに優れているので、玄関ドアからの寒さ対策を徹底したい方におすすめです。

高気密高断熱住宅-壁の断熱材

また、吉浦邸では柱と柱の間に断熱材を入れていく充填断熱(内断熱)工法を採用しています。壁に使用する柱を□105ではなく□120にすることで、断熱材の厚みも120㎜になり、より高い断熱性能を確保しています。

熱橋」部分は専用のキャップカバーをつけて対策

高気密高断熱住宅-熱橋対策のキャップ

高気密高断熱住宅-熱橋対策のキャップ

化粧梁などを支える部分には落下防止や耐震補強として金物が使用されます。

金物は熱の透過率がよく、熱を橋渡ししてしまうため「熱橋」と呼ばれている部分です。

金物が家の外側部分へ貫通している場合、この熱橋部分から冷えた外気がそのまま室内へ伝わり寒い家になってしまいます。さらに、室内との温度差から結露が発生する原因にもなります。

高気密高断熱住宅-熱橋対策のキャップ

吉浦邸では熱橋防止用のキャップを家の外側に露出している金物に取り付けることで、熱橋対策をしています。

このような専用の部材についても、取り付けることができるかどうか一度工務店へ相談してみることがおすすめです。

気密高断熱住宅をもっと長持ちさせる2つのポイント

家を長持ちさせるためには気密性能断熱性能の高さだけではなく、以下の2つのポイントにも気をつけましょう。

ポイント①】防蟻剤や防蟻効果のある資材でシロアリ対策をする

高気密高断熱住宅-シロアリ対策

シロアリ被害を受けると家の木材が食べられ、放置すれば床が浮いてしまったり、主要構造材が空洞になったりと、地震などの震災で倒壊する原因になります。

吉浦邸では土台部分に防蟻効果のあるシートを敷き、耐圧版と立ち上がりの間には止水板、断熱材の接着やスキマのウレタン処理には防蟻効果のある資材を使用しています。

防蟻対策は工務店によって様々あるため、一度相談してみることがおすすめです。

ポイント②】換気システムをこまめにメンテナンスする

気密性能の高い住宅でも、換気システムのメンテナンスやクリーニングを怠れば、換気システムが正常に機能しない原因となります。

実際に吉浦邸でも、入居後3か月間掃除をしていなかった寝室の換気フィルターを掃除したところ、換気システムの排気量は12㎥/hから19㎥/hまで改善しました。

高気密高断熱住宅-換気フィルターのクリーニング

高気密高断熱住宅-換気フィルターのクリーニング

定期的なメンテナンスとクリーニングは家を長持ちさせるだけではなく、健康被害を防ぐことにもつながります。

また、引っ越し作業では大量のほこりが出るため、引っ越し後1,2か月の間に一度はクリーニングすることがおすすめです。

24時間換気システムのメンテナンス方法はメーカーによって異なり、工具不要なものからドライバーなど複数の工具が必要なものまで様々です。

中にはコネクターを外さなければメンテナンスできないものもあり、施主だけでは対応しにくいものもあります。

メンテナンスが難しいと汚れていても放置しやすくなってしまうため、24時間換気を選ぶ際は、工具不要かどうか・メンテナンスしやすいかにも注目してみてください。

気密高断熱住宅を建てるための2つのポイント

高気密高断熱住宅を建てるなら工務店との契約前に必ずやっておきたい2つのポイントがあります。

ポイント①】構造見学会へ参加する

構造見学会は普段隠れている家の内部構造や施工などを見られるため、契約前に工務店の対応や施工の丁寧さを確認できる貴重な機会です。

家づくりで失敗したくない人、工務店選びで後悔したくない人は、いくつか気になる工務店の構造見学会へ参加してみることをおすすめします。

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ポイント②】工務店に気密測定とC値1㎠/㎡以下を約束してもらう

工務店と契約する前に、気密測定をしてもらえるか聞いてみましょう。

気密に配慮する工務店であれば必ず測定してくれますので、1つの判断基準になります。

前述の通り、工務店やハウスメーカーによって高気密とする数値はバラバラです。

最低限C値は1.0㎠/㎡以下にしてもらうよう約束されることをおすすめします。

C値の目標数値を約束した場合は、約束したことを必ず書面上に記載しましょう。

とめ|家づくりで後悔しないために

【注文住宅】施工に不慣れな工務店で高気密高断熱住宅を建てた施主にインタビュー

気密施工に不慣れな工務店で高気密高断熱住宅を建てるためには、細かく打ち合わせを行い、具体的なC値や気密測定の実施を約束してもらうことが大切です。

また、施主側が家づくりをはじめる前に住宅性能についてある程度知識をつけることも必要になります。

気密性能や断熱性能、工務店の選び方などについて、ぜひ当ブログも参考にしてみてください。

 

高気密高断熱住宅についてもっと学びたい方はこちら
【超有料級】スーパー工務店が高気密の技術を大公開!プロも絶賛する驚きの施工とは?
 



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