【保存版】新築でやるべき「壁」の断熱気密のポイント
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こんにちは、日本住環境 広報部(イエのサプリ編集部)です。
このブログでは良い家づくりに必要な情報を丁寧に解説していきます。
これから家を建てたいと考えている一般の方はもちろん、実際に家づくりに携わっている方にも「タメ」になる情報をお届けします。
家づくりでは性能のいい部材を使っていても、正しく施工されていなければ十分な性能を発揮できません。
なので、契約する前に工務店がどのような施工をしているのか、構造見学会で確認することが重要です。
今回のブログでは「壁」の施工に重点を置き、構造見学会へ参加した際にチェックしてほしいポイントを紹介します。
後悔しない家づくり・工務店選びのためにも、ぜひ参考にしてみてください。
目次 [表示させる]
【壁の断熱気密編】構造見学会で見るべき5つのチェックポイント
構造見学会に参加した際、見てほしい壁の断熱気密のポイントは主に以下の5つです。
- 給気口や配管などの貫通部分
- コンセントやスイッチ部分
- 窓や玄関ドアなどの開口部
- 壁と床・壁と天井の取り合い
- 袋入り断熱材の処理
実際の施工写真などを参考に具体的なポイントについて紹介します。
1.給気口や配管などの貫通部分
給気口や配管などの貫通部分は、断熱気密層の連続が途切れやすくスキマができやすい部分です。
気密テープや専用部材を使い、断熱気密層を連続させていく必要があります。
しかし、適切に処理されておらず、断熱材や気密シートとの間にスキマができている現場も珍しくありません。
一般的な家では10箇所前後の貫通部ができるため、処理されていないとかなり大きなスキマがあくことになります。
貫通部分のまわりにもしっかりと断熱材が敷き詰められており、気密テープで気密シートとの連続性が保たれているかチェックしましょう。
2.コンセントやスイッチ部分
コンセントやスイッチはそのまま壁に埋め込むのではなく、専用の気密部材を使い断熱気密層の連続を途切れさせないように処理します。
このような気密処理は家の外側である断熱外皮(下画像、黄色部分)に該当する部分のみ必要で、間仕切り壁(下画像、青部分)のコンセントやスイッチには必要ありません。
間仕切り壁は断熱外皮の内側に位置し、室内空間と同じになるからです。
ですが、間仕切り壁と天井や床が接する部分には気密処理が必要になります。
天井内や床をチェックするのが難しい場合は、コンセントやスイッチに手を当ててみてください。
気密処理ができていない家では、冷気を感じられるはずです。
3.窓や玄関ドアなどの開口部
窓や玄関ドアなどの開口部が入る場所は、余裕をもって入れられるように大きめの空間を確保しています。
ピッタリ入らない分、しっかり気密処理をしないとスキマの多い場所になってしまうでしょう。
画像のように専用の気密パッキンや気密テープでの気密処理が必要です。
丁寧な現場ではテープ処理をした後に、1液の発泡ウレタンなどで小さなスキマも塞いであります。
■関連動画■
高気密高断熱も無意味?窓の劣化事例に学ぶ、窓の選び方と基礎知識【Q&A】
4.壁と床・壁と天井の取り合い
壁と床の取り合いである巾木部分や、化粧部材で隠されている壁と天井の取り合いは断熱気密層が途切れるため、断熱気密欠損になりやすい場所です。
スキマをつくらないためには、壁と床なら床面まで気密シートを被せてテープ処理をします。
天井も同様に折返し部分をテープ処理し、取り合いの気密層を連続させていきます。
構造見学会では、それぞれがしっかりと処理されているか確認しましょう。
5.袋入り断熱材の処理
袋入り断熱材は「袋の耳と耳をあわせて石こうボードで押さえれば大丈夫」と言われることもあります。
しかし、このような方法は、繊維系断熱材を痛めず補完するための防露措置としては有効ですが、気密措置としては効果をあまり期待できません。
実際には石こうボードで押さえるのではなく、接合する袋の耳を気密テープですべて処理していく必要があります。
また、筋交い部分に袋入り断熱材を入れる場合は、筋交いに沿ってスキマなく収まるようにカットし、テープで処理していきます。
カットしないでそのまま断熱材を入れてしまうと、外に押し出す形となり本来の断熱性能を発揮できません。
それだけではなく、構造用面材のない家では透湿防水シートが押し出され、通気層を塞いでしまうリスクがあります。
断熱気密欠損になりやすい壁の施工と設備
施工や設備によっては、断熱欠損や気密欠損のリスクを高める可能性があります。
ここでは、注意してほしい施工や設備を紹介します。
エアコンの後付け穴
施工時にエアコンが決まっていないため、後から家電量販店にエアコンの穴をあけてもらう現場もあります。
エアコンの後付け穴はのこぎりが丸くなったようなもので抜いていくのですが、一度つくった防水層や断熱気密層に無理矢理穴をあけることになります。
防水シートや断熱材、気密シートなどを巻き込んで抜くため、よれたり破れたりしてしまいます。
抜いた後の気密処理は難しくなるのですが、ここを処理しないと気密性能が大幅に悪くなり、C値が2.0㎠/㎡や3.0㎠/㎡に近づくおそれがあります。
どうしても施工時にエアコンが間に合わない場合は、先行配管で先に穴をあけてもらいましょう。
先に気密処理ができるので、後からエアコンを入れても気密性能を維持できます。
■関連動画■
【注文住宅】シャッターをつけて後悔した理由
シャッターボックスが付いている
シャッターのある家では、シャッターボックス部分に断熱材がなく、105㎜程度の熱橋が発生することがあります。
ただの熱橋であれば柱が入っているのと変わりありませんが、外側に熱伝導しやすい鉄鋼製のシャッターボックスが付いているため、木の部分に外部の熱が直接伝わります。
木の部分と室内温度に温度差ができれば結露してしまうため、シャッターを設置する際はシャッターボックスの断熱について確認しておきましょう。
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高断熱高気密住宅はエアコンの配管穴が空いてるけど大丈夫なの?【Q&A】
玄関のドアとポストが一体になっている
玄関ドアとポストが一体化している家も注意が必要です。
ポストと一体化しているドアは、しっかり気密処理をしていても開閉用のバネ部分にスキマができ、外気の出入りを抑えることはできません。
また、ポスト部分には断熱性能がないため熱の流失を防げず、寒い玄関をつくる原因になります。
快適な玄関をつくるにはドアとポストを一体化させず、別々に設けることをおすすめします。
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【注文住宅】玄関の仕様で大後悔!冷気がダダ漏れする意外な盲点【Q&A】
壁の断熱工法の違いと確認すべきこと
壁の断熱工法にはいくつかの方法があり、どの工法を選ぶかで断熱気密部位が変わります。
ここではそれぞれの工法の違いと工法別に構造見学会で見るべきポイントを紹介します。
外断熱(外張り断熱)
外断熱(外張り断熱)は、柱の外側に断熱材を入れる断熱工法です。
プラスチック系断熱材を使えば気密はとりやすくなりますが、つなぎ目に気密テープを使った気密処理が必要になります。
配管などの貫通部は1液の発泡ウレタンなどでしっかりと塞がれているかを確認しましょう。
充填断熱(内断熱)
充填断熱(内断熱)は、柱と柱の間に断熱材を入れていく断熱工法です。
断熱材をスキマなく敷き詰める必要があり、捲れていたり詰め込みすぎて縮んでしまっていたりすると、本来の性能を発揮できなくなります。
構造見学会では、断熱材と柱の間にスキマができていないか、無理矢理詰め込まれていないかを確認しましょう。
また、充填断熱では室内側から気密シートを張り気密をとる必要があります。
気密シートがたるみなく張られ、シートとシートの間が気密テープでしっかり連続されていることが重要です。
気密シートだけではなく、気密テープが捲れずしっかり貼られているか、穴やスキマができていないかも確認しましょう。
外断熱に似ている合板気密工法とは
充填断熱の中には、外断熱に似ている合板気密工法という工法もあります。
一般的な充填断熱では気密シートを室内側に張りますが、合板気密工法では外側の合板を気密部材で連結して気密をとるのが特徴です。
気密シートを使わず、合板を気密テープや専用のパッキンで連続させることで、気密をとることができます。
注意すべきは、室外側で気密をとるため透湿抵抗が上がることです。
そのため、断熱材に調湿性を持たせるなど、室内側で何かしらの防露措置が必要になります。
合板気密工法で建てる家の構造見学会に行く際は、断熱材の調湿性や防露措置などについて聞いてみてください。
吹付断熱
吹付断熱は、液状の断熱材を吹き付け発泡させて、スポンジ状に変化させる断熱工法です。
密着するためスキマができにくく、スポンジ状に変化した断熱材の表面に膜が張ることで、気密シートを張らなくても気密性能をとれるなどのメリットがあります。
吹付断熱の家の構造見学をする際は、スポンジがスキマなく吹き付けられており、均一に敷き詰められているかを確認しましょう。
吹付断熱における2つのリスクとおすすめの断熱材
気密処理にあまり慣れていない工務店で家を建てる場合、細かくテープ処理をしていくより、吹き付けるだけで断熱も気密もとれる吹付断熱の方がいいのではないかという意見もあります。
ここでは吹付断熱のリスクなどについて紹介します。
地震によりウレタンが割れる可能性がある
気密テープや気密パッキンは木の伸縮・膨張に対し追従する性質があります。
倒壊するような地震でない限り、気密テープやパッキンが破れてスキマができることはありません。
しかし、ウレタンは追従する性質を持っていないため、地震により木が動いた拍子に割れてしまうことがあります。
割れたところはそのままスキマになってしまうため、大きめな揺れがあると知らない内に、家の気密性能が大幅に落ちてしまうリスクがあります。
リフォームや改修時にコストがかかる
ウレタンの付いた木材は産業廃棄物となってしまい、処分に費用がかかります。
リフォームや改修工事をする際、ウレタンを木材から完全にそぎ落とさなければいけません。
処分するにしても、ウレタンをそぎ落とすにしても費用がかかってしまうでしょう。
子供や孫に引き継ぐことを考えると、断熱材はウレタンを避け、繊維系断熱材をおすすめします。
まとめ|構造見学へ参加する方へ
構造見学会でチェックしてほしい壁のポイントについて細かく紹介してきました。
見てほしいところは数多くありますが、最低でも以下の3つをよく確認しておきましょう。
- 気密テープなどで気密層が連続しているか
- 断熱材がスキマなく収まっているか
- 気密シートにたるみや穴がないか
構造見学会で壁、床、天井の断熱気密処理を確認することで、納得のいく工務店を選ぶことができるでしょう。
構造見学会は公式HPなどから予約することができます。
▲NJKブログ【床の断熱気密編】
【動画】「床」の断熱気密のポイントまとめ
▲NJKブログ【天井の断熱気密編】
【動画】「天井」の断熱気密ポイントまとめ