高気密でもカビが生える!20年間第1種換気をメンテナンスしなかった家の末路NJK BLOG

2022.11.11
お役立ち情報24時間換気
高気密でもカビが生える!20年間第1種換気をメンテナンスしなかった家の末路


【高気密住宅】20年経った熱交換換気がヤバすぎる

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こんにちは、日本住環境 広報部(イエのサプリ編集部)です。
このブログでは良い家づくりに必要な情報を丁寧に解説していきます。
これから家を建てたいと考えている一般の方はもちろん、実際に家づくりに携わっている方にも「タメ」になる情報をお届けします。




高気密で性能のよい家でも、24時間換気がしっかり稼働していないと室内にカビが生えることもあります。

24時間換気は機械なので寿命もありますが、寿命前に稼働しなくなる主な原因は、メンテナンス不足です。

入居してから一度も24時間換気をメンテナンスしていない家や、数年間24時間換気を掃除していない家は、知らぬ間に換気量が大幅に落ちているかもしれません。

今回のブログでは、第1種熱交換型換気を20年間一度もメンテナンスしてこなかったA邸の換気測定の結果や家の状態について紹介していきます。

24時間換気の掃除・メンテナンス方法については「24時間換気の掃除方法!カバーが外せず掃除できない場合の対処法」を参考にしてみてください。


目次  [表示させる]
1.20年間第1種換気をメンテナンス・掃除しないとどうなるのか
1-1.元の色がわからないほど真っ黒なフィルター
1-2.熱交換素子に大量のカビ
1-3.ダクト内にクモの巣
2.【実測】第1種換気を20年間メンテナンスしなかった家の換気量
2-1.OA(Outside Air):室外吸込量
2-2.EA(Exhaust Air):排気量
2-3.RA(Return Air):室内吸込量
2-4.SA(Supply Air):給気量
3.高気密でもカビが生える!換気不足の家のリスク
4.建てる前に注意!メンテナンスできない家とは
4-1.給気ガラリ・排気ガラリにメッシュが付いている
4-2.点検口がメーカー指定のものより小さい
4-3.点検口のフタを付ける位置が違う
5.まとめ|きれいな家はきれいな24時間換気から!

20年間第1種換気をメンテナンス・掃除しないとどうなるのか

20年間掃除されなかった第1種換気は、どのような状態なのでしょうか。

写真とともに紹介していきます。

の色がわからないほど真っ黒なフィルター

本体のフタを外すと、まず黒いフィルターが見えてきます。

汚れたフィルター 24時間換気

実はこのフィルター、本来の色は白です。

20年間メンテナンスされずに放置されてきたため、吸いこんだホコリなどの浮遊物が蓄積し、元の色がわからないほど汚れきっています。

イエのサプリ編集部が掃除しようとフィルターを取り出したところ、少し動かしただけで脚立や床に大量のホコリが落ち、触れただけで手が真っ黒になってしまいました。

汚れたフィルター フィルター掃除

第1種換気に限らず長期間24時間換気のメンテナンスをしていない家では、この写真のようにフィルターが真っ黒になっているかもしれません。

汚れたフィルターから入ってきた空気を吸い続ける生活は健康に悪影響を及ぼすため、早めのメンテナンスが必要です。

交換素子に大量のカビ

真っ黒に変色したフィルターを外すと、第1種熱交換型換気に欠かせない熱交換素子が出てきます。

取り出してみると、白かったはずの熱交換素子にはカビとホコリが大量に付着して、真っ黒に汚れていました

第1種換気 熱交換換気 汚れた熱交換素子

第1種熱交換型換気のメリットは、排気する熱を回収し給気する空気とともに室内に戻せることですが、写真のように熱交換素子が汚れていると、カビやホコリが家中に拡散されることになります

クト内にクモの巣

本体やダクト内にも大量のカビが付着しており、ダクトに至ってはクモの巣ができているものもありました。

24時間換気 ダクトの汚れ

24時間換気のダクトは常に空気が動いているため、基本的にホコリがたまったりクモの巣ができたりすることはありません。

そのため、クモの巣ができてしまったA邸では、24時間換気が正常に稼動していなかったことがわかります。

実測】第1種換気を20年間メンテナンスしなかった家の換気量

20年分の汚れを蓄積したA邸の第1種熱交換型換気が、実際にどの程度換気できているのか測定を行いました。

用語解説

OA(Outside Air):外から換気本体まで空気を引き込む室外吸込量

SA(Supply Air):強制給気として室内に入る給気量

RA(Return Air):室内排気口から汚れた空気を吸いこみ換気本体へ送る室内吸込量

EA(Exhaust Air):室外へ排気する最終的な排気量

測定をしてみると下のような結果となりました。

換気量測定 結果

それぞれの結果と原因などについて解説していきます。

OA(Outside Air):室外吸込量

給気量 測定結果

まずはOAですが、必要換気量123㎥/hに対し、たったの14㎥/hと新鮮空気がまったく足りていないことがわかります。

ここまで大幅に換気量が落ちてしまった原因は、メンテナンス不足によるフィルターの目詰まりです。

給気ガラリ メッシュの目詰まり

A邸の給気口にはメッシュが付けられており、一般の人にはメンテナンスの難しいものでした。

その結果、写真からもわかる通りメッシュにホコリが絡み、目詰まりを起こしています。

EA(Exhaust Air):排気量

排気量 測定結果

最終的な排気量であるEAはバランスが取れている場合、OAとほぼ同じ数値になるはずです。

A邸の場合、EAが14㎥/hになっていれば入ってきた空気を出せていることになります。

しかし、測定結果は35㎥/h

室内に入ってくる量よりも出ていく量の方が多くなっており、給排気のバランスが崩れていることがわかります。

換気システム本体の中で目詰まりを起こしていて、上手く換気できていない可能性もあります。

RA(Return Air):室内吸込量

室内吸込量 測定結果 

RAは全部で58㎥/hでした。

ここのフィルターもメンテナンス不足により目詰まりが起こっており、換気量が大幅に減ってしまっている状態です。

フィルターの汚れ 目詰まり

また、この結果で気になるのがEAとの差です。

各部屋から本体までは58㎥/hあったのに、本体から外に排気するまでの間に35㎥/hと減ってしまっています

これも本体内でバランスが崩れてしまっている証拠です。

SA(Supply Air):給気量

給気量 測定結果

最後にSAですが、フィルターの目詰まりがひどくほとんど稼動していない状態です。

納戸に至っては0㎥/hとまったく換気していません

第1種換気は給排気を機械で行うことにより、安定した換気量を確保できるのが特長ですが、メンテナンスを怠るとA邸のようにOA、EA、RA、SAすべての換気量がバラバラになり、24時間換気のバランスが崩れてしまいます。

この4つのバランスを維持し24時間換気を正常に稼働させるためには、本体だけではなく各給排気口のフィルターもきれいに保っておくことが重要です。

気密でもカビが生える!換気不足の家のリスク

24時間換気が正常に稼働していないA邸ですが、気密性能は1.0㎠/㎡をきっています。

引き渡し当初は0.5㎠/㎡をきっていたと考えられるほど高気密な住宅です。

そのため、本来であればカビやシミができにくい家になるはずですが、A邸では天井の隅に油汚れやカビのようなものが見られました。

天井付近のカビ 油汚れ

気密性能や断熱性能がよい家でも、換気ができていないと水蒸気や汚れた空気が停滞し、シミやカビができてしまいます。

てる前に注意!メンテナンスできない家とは

快適で清潔な家にするには日々のメンテナンスが重要ですが、家のつくりによってはメンテナンスしたくても自分ではできないケースもあります。

どのようなつくりの家だとそうなってしまうのでしょうか。

気ガラリ・排気ガラリにメッシュが付いている

A邸のように給気ガラリや排気ガラリにメッシュが付いていたり、手の届かない場所にフィルターが設置されていたりすると、定期的なメンテナンスが難しくなります。

メンテナンスのしやすい家をつくるには、手の届く場所にメッシュのない給排気口を付けることがポイントです。

検口がメーカー指定のものより小さい

点検口のサイズは、メンテナンスをする上で非常に重要です。

工務店の中にはデザイン性を優先し、メーカーが指定するものよりも小さい点検口を使ってしまうケースもあります。

しかし、小さいものを使ってしまうと、点検口を開けても換気システムの本体を取り出せず、メンテナンスが一生できない家になってしまうかもしれません。

点検口のサイズは設計図に記載されているはずなので、あらかじめ一緒に確認しておくことをおすすめします。

検口のフタを付ける位置が違う

設計図には点検口のフタの取り付け位置や開く方向が記載されています。

しかし、設計図を誤解して読み取り付ける位置を間違えてしまうケースもゼロではありません。

間違った位置に点検口のフタが付いてしまうと、本体や熱交換素子がフタにひっかかり、取り出せなくなることもあります。

A邸はフタの位置が設計図に記載されている場所とは違うところに付けられていて、フタを外さないと熱交換素子が取り出せない状態でした。

点検口の付ける位置

建築中に点検口のサイズと併せて、フタの位置も確認しておくことをおすすめします。

とめ|きれいな家はきれいな24時間換気から!

高気密な家でもメンテナンスを怠り24時間換気が上手くいかないと、汚い空気を室内に拡散させるだけではなく、クロスの汚れやカビの発生につながります。

取扱説明書に沿った日々のメンテナンスも重要ですが、家を建てる際に「メンテナンスできない家」を回避することも重要です。

また、しっかり換気しているかは実際に計測しないとわからないので、引き渡し前に換気測定を行い、実際に換気しているかを確認してもらうようにしましょう。

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