天井・小屋裏の結露で家がカビる!?結露を放置するリスクと3つの対策NJK BLOG

2022.07.20
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天井・小屋裏の結露で家がカビる!?結露を放置するリスクと3つの対策


【切り抜き】気密/通気のダメな施工例まとめ【屋根/天井付近】
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こんにちは、日本住環境 広報部(イエのサプリ編集部)です。
このブログでは良い家づくりに必要な情報を丁寧に解説していきます。
これから家を建てたいと考えている一般の方はもちろん、実際に家づくりに携わっている方にも「タメ」になる情報をお届けします。



窓や壁によく結露ができる家では、天井や小屋裏も結露しているかもしれません

特に小屋裏が結露してしまうと、家の耐震性や耐久性に悪い影響を与えてしまうため早めの対処が必要です。

今回のブログでは、天井や小屋裏が結露してしまう原因や根本的な原因を改善する対策を紹介します。

目次  [表示させる]
1.結露?雨漏り?天井のシミの正体とは
2.天井や小屋裏が結露する原因
 2-1.気密性能の悪さ
 2-2.断熱欠損・断熱材の入れ忘れなどの施工ミス
 2-3.小屋裏換気や通気層がないことによる水蒸気の停滞
3.小屋裏の結露を放置するリスク
4.結露で保険の補償は受けられる?天井・小屋裏にカビが生えた時の対処法
 4-1.結露被害は保険の対象外
 4-2.カビが生えた時の対処法
5.繰り返す天井や小屋裏の結露を改善させる3つの対策
 5-1.家のスキマを埋め気密性能を上げる
 5-2.小屋裏へ水蒸気が入ってこないように気流止めをする
 5-3.軒換気部材や棟換気部材を設置し通気層を確保する
 5-4.24時間換気をメンテナンスし十分な換気量を確保する
6.まとめ

露?雨漏り?天井のシミの正体とは

天井のシミ 結露


晴れの日が続いていたはずなのに、いつの間にかできた天井のシミ

もしかしたら、小屋裏の結露が原因かもしれません。

小屋裏で結露して結露水が天井裏などにたまり、それがあふれて天井クロスに雨水のようなシミをつくることがあります。

また、真夏のゲリラ豪雨や急な雨の後にできたシミも雨漏りではなく、結露が原因かもしれません

真夏の日射によって熱せられた屋根が、雨により急激に冷やされることで温度差ができ結露してしまうこともあるのです。

放置していると被害がどんどん拡大していきますので、天井にシミを見つけたら早めに工務店やハウスメーカーに相談して、原因を調査してもらいましょう。

井や小屋裏が結露する原因

結露は水蒸気を含んだ空気が冷やされることで、抱えきれなくなった水分が水に変わる現象です。


結露の仕組み

ここでは、天井や小屋裏が結露する具体的な原因について紹介します。

密性能の悪さ

天井や小屋裏が結露する大きな原因の1つは気密性能の悪さです。

気密性能の悪い家では、夏は暑く冬は寒い外気が壁内を自由に出入りして家中を巡るため、エアコンを付けた室内と壁内の間に温度差が発生します。

冷房を付けて室内側が寒くなれば表面結露、暖房を付けて室外側が寒くなれば壁内結露するおそれがあるでしょう。

また、気密性能の悪い家ではスキマからの空気の出入りにより換気が設計通りに行われないため、室内の水蒸気が排出されずに小屋裏へ流れてしまうこともあります。

それにより小屋裏に水蒸気がたまってしまうのも小屋裏で結露する原因の1つです。

熱欠損・断熱材の入れ忘れなどの施工ミス

家の中で温度差ができてしまう原因は気密性能だけではありません。

断熱材がしっかり入っていないことも原因の1つです。

配管や吊木によって部分的に断熱材が捲れてしまっているケースもありますが、中には断熱材が一切入っていないケースもあります

実際にあった現場ですが、熱画像で天井を確認しているとそこだけ穴がぽっかりあいたように青くなっている場所があり小屋裏を覗くと、写真のように断熱材が入っていませんでした。


断熱材が入っていない現場 断熱欠損

お施主様に詳しい話を聞いてみると、引き渡し前に配線の入れ替えを行っていたことが判明。

小屋裏をよく見てみると、断熱材が入っていない場所の横に元々入っていたと考えられる断熱材が置いてありました。

配線を入れ替える際に邪魔な断熱材を電気屋がどかし、戻すのを忘れてしまったのかもしれません。

断熱材が入っていないと部分的に温度差ができるだけではなく、家全体の温度差をつくる原因になります。

屋裏換気や通気層がないことによる水蒸気の停滞

小屋裏換気や通気層がなく換気不足になると、水蒸気がいつまでも停滞してしまい結露の原因となります。

最近のほとんどの住宅では室内から出た空気を外へ排出できるように、外壁と透湿防水シートの間に通気層を設ける外壁通気層工法が採用されています。

また、小屋裏に溜まる水蒸気が停滞しないように、棟換気や軒換気が設置されることが増えてきました。


軒換気・棟換気・通気層

しかし、外壁通気層工法を採用することは法律で定められておらず、採用されても出入口が塞がっているケースも珍しくありません。


防水事故 通気層が塞がっている事例

軒換気や棟換気も、ラット35や長期優良住宅を利用しない限り設置義務はありません

また、設置されていても開口部の一部が塞がっていたり、換気部材の性能が低かったりして十分な換気量をとれていないこともあります。

十分な換気ができないと水蒸気だけではなく熱がこもり、小屋裏がサウナのようになってしまいます

ロフトや天井付近が暑い家は一度、小屋裏の換気状況を確認した方がいいかもしれません。

屋裏の結露を放置するリスク

小屋裏の結露を放置すると建材にカビが生えたり野地板が濡れたりして、大掛かりな改修工事が必要になってしまうかもしれません。


小屋裏結露のリスク

さらに怖いのは、建材を腐らせる腐朽菌や建材を食べるシロアリが繁殖することです。


結露のリスク 腐食菌・シロアリの繁殖

どちらかだけでも繁殖してしまうと家の耐久性や耐震性が著しく低下し、耐震等級3の家でも地震で倒壊するおそれがあります

家の劣化を早め数年で住めない家にしてしまうため、被害が出る前・拡大する前に対応することが重要です。

露で保険の補償は受けられる?天井・小屋裏にカビが生えた時の対処法

結露によって天井や小屋裏になんらかの不具合が起きた場合、補償を受けることはできるのでしょうか?

ここでは、結露によって天井・小屋裏にカビが生えた時の補償や対処法について紹介します。

露被害は保険の対象外

躯体に起きた雨漏りなどの防水事故は、工務店が加入している瑕疵担保責任保険によって改修費の一部などの補償を受けることができます。

ですが、結露による水濡れや天井のシミ、カビは保険の対象外となり、改修費用は施主側が支払わなければいけません。

ビが生えた時の対処法

結露 カビの対処方法


天井や小屋裏にカビが生えてしまった場合、自分で手を加える前にまずは家を建てた工務店やハウスメーカーに相談することをおすすめします。

一時的に対処できても根本的な原因を解消しない限り何度でも生えてしまいますし、知識のないままいじってしまうと素材にシミをつくったり、被害を悪化させてしまうおそれがあるからです。

り返す天井や小屋裏の結露を改善させる3つの対策

結露は窓開け換気をしたり水滴を拭いたりしても、根本的な原因が解決しないと何度でも発生してしまいます。

ここでは、結露の根本的な原因を解決するための3つの対策について紹介します。

のスキマを埋め気密性能を上げる

まずは家のスキマを埋め、気密性能を上げることが重要です。

気密性能を上げてしまうと、風の通りが悪くなり余計に水蒸気がこもってしまうのではないかと不安に思う人もいるかもしれません。

しかし、気密性能を上げると空気が設計した通りの換気経路を流れていくようになり、水蒸気をしっかり排気できるようになります。

実は気密性能の悪い家では家中のスキマから空気が入り込むため、換気経路を辿らず近くのスキマ同士で部分的な換気しかしていないのです。

気密と換気 気密性能の悪い家・いい家
 

一方、スキマがほとんどないような気密性能のよい家では、スキマから空気が出入りしないため、給気口から入り排気口から出てくれます。

気密性能を上げるにはスキマになっている部分をメーカーが販売している気密テープや一液の発泡ウレタンなどでとにかく埋めていくことが重要です。

どこを確認すればいいのかについては「自分で気密性能は上げられる?リカバリーした家の性能を検証」や「家が寒い原因を徹底解説!暖房なしでも暖かい家にする2つの対策」を参考にしてみてください。

※イエのサプリ編集部では、リカバリーを推奨しているわけではありません。リカバリーをする際は専門家に相談の元、自己責任で実施してください。

屋裏へ水蒸気が入ってこないように気流止めをする

気密性能を上げることと似ていますが、小屋裏へ水蒸気が入ってこないような対策も重要です。

実際にあった現場に下の画像のような小屋裏がありました。


断熱欠損

本来であれば、奥に見える袋入り断熱材は上にある木部に袋のミミ部分を30㎜程度張り付ける必要があります。

しかし、この現場では見てわかる通りどの断熱材も木部に張り付けられていません。


断熱欠損  対処方法

このままにしておくと、断熱材と壁のスキマから水蒸気が小屋裏に入って結露する可能性が高いでしょう。

寒冷地では、断熱材をスキマなく施工した後に、別張り気密シートを下地(木)のあるところでタッカー留めをして、シート同士を気密テープで連続させるといった処置をすることもあります。

そこまでしないにしても、結露を防止するには水蒸気をせき止めて気流が動かなくする処置が必要です。

換気部材や棟換気部材を設置し通気層を確保する

フラット35や長期優良住宅で家を建てない場合は、契約前に軒換気や棟換気を付けてもらえるか確認しておきましょう。

もし付けないというのであれば、付けてもらえるよう交渉するか、付けてくれる工務店と契約することをおすすめします。

軒換気や棟換気を設置する際の注意点として、詳しくはこちら「【現場解説】屋根断熱はここに注意!結露やカビが発生する要因を解説!」の動画をご覧ください。


外壁通気層工法を採用していても出入口が塞がっている可能性がありますので、構造見学会などに参加してどのような施工をしているのか確認してみましょう。

構造見学会で確認すべきポイントは「防水対策や通気層がないと家が腐る!外壁の劣化やカビを防ぐ施工のポイント」のブログ記事や以下の動画を参考にしてみてください。

24時間換気をメンテナンスし十分な換気量を確保する

小屋裏だけではなく、室内にも水蒸気を溜めないよう常に24時間換気を稼働させ、必要換気量をしっかり確保することも結露対策としては重要です。

24時間換気は「換気扇を回すと寒い」「音がうるさい」「電気代がもったいない」などの理由から、普段は止めてしまっている人もいますが、止めてはいけません

水蒸気は人の吐く息にも含まれているため、寝ている時にも稼働し続けるようにしましょう。

常に稼動させる他に定期的なメンテナンスも重要です。

メンテナンスを怠るとホコリなどが付着し、徐々に換気量が落ちて最終的にスイッチは付いているのにまったく換気してくれない換気扇になってしまいます。

細かいメンテナンスが苦手な人やめんどうに感じる人は、24時間換気を選ぶ際にメンテナンスしやすさで比較してみることをおすすめします。

とめ

天井の結露や小屋裏の結露はカビやホコリが溜まり、不衛生でシックハウス症候群を引き起こす原因にもなります。

特に小屋裏結露は普段目にしないところで発生しているため、気付いたら深刻な被害になっていて大規模な改修工事が必要だったり、腐朽菌やシロアリの繁殖によって住めなくなることもあります。

根本的な原因を解消するにはただ部屋の中を換気するだけではなく、気密性能を上げ断熱欠損がないかを確認し、小屋裏に湿気を溜めないことが重要です。

どこに問題があるかについて、まずは工務店やハウスメーカーに相談してみましょう。

 

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