24時間換気システムを止めてはいけない理由|シックハウスになりやすい家の特徴とはNJK BLOG

2022.04.21
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24時間換気システムを止めてはいけない理由|シックハウスになりやすい家の特徴とは

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こんにちは、日本住環境 広報部(イエのサプリ編集部)です。
このブログでは良い家づくりに必要な情報を丁寧に解説していきます。
これから家を建てたいと考えている一般の方はもちろん、実際に家づくりに携わっている方にも「タメ」になる情報をお届けします。




健康的な生活を送りたいと思ったとき、何に注意しますか?

多くの人は、食べ物や飲み物など日常的に摂取するものの成分や栄養バランスを考え、注意すると思います。

しかし、私たちが人生を通し1番多く摂取するものは食べ物でも飲み物でもなく空気です。

人が生涯で摂取するものの割合 

空気は人が一生で摂取するものの約83%を占め、その内57%が室内空気となっています。ですので、健康的な生活をおくるためには、家の空気を清潔に保つことが重要です。

室内空気を保つには、常に窓開け換気をするのが効果的ですが、夜や天候が悪い日、寒い日には窓を開け続けられませんよね。

そこで窓を開け続けなくても室内空気を清潔にしてくれるのが、24時間換気システムです。

今回のNJKブログでは、24時間換気システムの効果や種類、24時間換気の設置義務のきっかけとなったシックハウスについて紹介します。


目次  [表示させる]

は室内空気は汚い!24時間換気システムを止めてはいけない理由

24時間換気システムの運転音がうるさかったり、寒いと感じたりして止めてしまう人もいます。ですが、24時間換気システムは室内空気を清潔に保つためにも、基本的に止めてはいけません

そんなに換気しなくてもいいのでは?と思ってしまうかもしれませんが、室内の空気は様々な原因によって汚染されているのです。

シックハウス アレルギーの原因

この他にも家具などから発散される化学物質だったり、住んでいる人から排出される二酸化炭素だったり、1秒ごとに室内空気は汚れていきます

ただ、空気の汚れは目に見えないため、本当に24時間換気に効果があるのか疑問に思う人も多いのではないでしょうか。

地方独立行政法人北海道立総合研究機構による調査では、換気により室内の化学物質が減少しているのがわかります

空気の汚れ ホルムアルデヒド濃度

(参考:地方独立行政法人北海道立総合研究機構)

換気システムを停止したケースは、厚生労働省が提示する指針値を大幅に超えているのに対し、法律で定められた換気回数で換気したケースではどれも指針値を下回る結果となりました。

指針値を上回るような汚れた室内空気を日常的に摂取してしまうと、アレルギーやシックハウスなど様々な健康被害へのリスクが高まります。

なので、24時間換気システムは運転させたり止めたりするのではなく、常に運転させ法律で決められた換気量を確保するようにしましょう。

ックハウスの症状と原因

換気不足の家で生活した際に、起きやすい健康被害の1つにシックハウス(シックハウス症候群)があります。

シックハウスになった場合、どのような症状が起こるのでしょうか?ここでは、症状や原因、法律で定めたシックハウス対策について紹介します。

ックハウスの症状とは

人によって症状や程度が違いますが、シックハウスになると主に以下のような症状が現れます。

シックハウス症候群の症状

ただ、このような症状はシックハウスになっていない人でも、体調不良や疲労などで発症することがあるため、自分がシックハウスになっていると自覚のない人も珍しくありません。

日本ではシックハウスの自覚を持たない潜在患者が約1,000万人いるといわれています。

シックハウスの判断基準は、その症状が特定の家にいるときだけ現れることです。例えば、家の中でも外でも同じ症状が現れる場合、別の病気の可能性がありますし、自宅(特定の家)にいるときだけ症状が現れるのであればシックハウスの可能性が高いでしょう。

ックハウスを引き起こす原因

シックハウスを引き起こす原因は人によって違いますが、高揮発性有機化合物(VVOC)であるホルムアルデヒドの室内濃度が高い家は、シックハウスを引き起こしやすくなります。

室内濃度が高くなってしまうのは、24時間換気が正常に機能せず換気不足になっていることの他に、ホルムアルデヒドを大量に含んだ家具の使用なども原因の1つです。

ホルムアルデヒドは家具の接着剤や布製品のしわ伸ばしなど幅広い用途で使用されており、木製の本棚やテーブル、カーペットなどあらゆる家具に含まれている可能性があります

特に家具量販店で販売されている輸入家具は、輸入後にホルムアルデヒドの使用量は審査されません。そのため、規制を行ってない国や規制が緩い国でつくられた場合、大量に使用されていることもあります。

ホルムアルデヒドが含まれるもの 輸入家具

マットレスなど肌に直接触れるような家具に大量のホルムアルデヒドが含まれていた場合、シックハウスになるリスクが高くなるでしょう。

実際に消費者庁の事故情報データバンクシステムには、購入したばかりのベッドで寝ていたら咳や鼻づまり、目の痛みなどシックハウスと考えられる症状が現れてしまったという相談が多数寄せられています。

持ちこみ家具でシックハウスにならないためには、各協会が定めた基準を守っている商品を選ぶことが重要です。日本ベッド工業会では、ベッドとマットレスにホルムアルデヒドの使用量を定め、基準が守られている製品のみ以下のような認定を行っています。

マットレス ベッド ホルムアルデヒド基準

出典:日本ベッド工業会

家具に含まれるホルムアルデヒドの他に、シロアリ駆除の薬にもシックハウスを引き起こす大量の化学物質が含まれていることがあります。

事故情報データバンクシステムには、シロアリ駆除の薬品散布後から体に異変や不調が起こったという情報が多く寄せられています。

シロアリ駆除 シックハウス

出典:消費者庁・国民生活センター 事故情報データバンク (シロアリ駆除 事故情報ID:0000379330シロアリ駆除 事故情報ID:0000389853防虫・殺虫用品 事故情報ID:0000335043、2022年4月18日に検索)

自分の家だけではなく、風向きによっては隣の家が行ったシロアリ駆除の薬によりシックハウスを引き起こすことがあります。シロアリ駆除の薬を散布する際には、近隣への配慮や薬剤について注意してください。

【ホルムアルデヒドについて詳しくはコチラ】家具・建材に含まれるホルムアルデヒドとは?対策と換気のポイント

24時間換気システムによるシックハウスの規制と対策

日本のシックハウスは、1965~1970年頃に「新築住宅で目や鼻が痛くなる」「食器棚を開けると目が痛くなる」などの相談が相次いだことが始まりです。

多くの相談を受け、1972年に各協会が様々な自主規制を設けるようになりました。2003年には建築基準法が改正され、シックハウスにならないため以下の3つの対策について定めています。

  1. ホルムアルデヒドの発散が少ない建材の使用
  2. 換気回数0.5回/h以上の機械換気設備の設置
  3. 天井裏・床下・小屋裏などからのホルムアルデヒド流入を防ぐ措置

この法律により、24時間換気の設置が義務化されました

24時間換気システムの種類とメリット・デメリット

24時間換気システムは全般換気と局所換気にわけられ、全般換気にはダクト式第1種換気とダクト式第3種換気が含まれます。

ここでは、24時間換気システムの種類やメリット・デメリットについて詳しく紹介します。

24時間換気システムの種類

24時間換気システムには、1つの換気システムをダクトでつなぎ家全体の換気を行う全般換気と、家中にパイプファンを設置して換気を行う局所換気の2つにわけられます。

24時間換気の種類 全般換気 局所換気

全般換気のメリットは、ダクトを全室に延ばすことで各居室の換気ができたり、換気システムを1台しか設置しなくて済むので電気代を安くできることです

デメリットは、ダクトを設置する分のイニシャルコストが発生したり、配管経路の確保をしっかり行わないとダクトが潰れるなどして、換気量が落ちてしまうことです。

また、第1種換気のように給気もダクトが必要な場合には、ダクト内のホコリに注意しないといけないのはデメリットと言えるでしょう。

一方、局所換気のメリットはダクトがない分、イニシャルコストを安くできるところです。また、局所換気はプロペラが目に見えるところに付いているため、運転しているかを目視で確認することができます。

デメリットは、強風時には排気するはずのプロペラファンから空気が逆流したりプロペラが止まったりして、風量が不安定になるところです

キッチンフードを回すことで、トイレについているパイプファンが逆流しニオイがキッチンに流れるなどのトラブルもあります。

ランニングコスト面でも不利で、プロペラファンそれぞれで電気代がかかるため、全般換気に比べて電気代が高くなるでしょう。また、本体若しくはモーターを交換する際には壁を壊す大規模な工事になり、金銭面での負担が大きくなる可能性もあります。

24時間換気の種類を2つ紹介しましたが、局所換気での24時間換気は換気経路を設計しても空気が目に見えないため、実際に換気経路を通って換気できているのか判断の難しいところがあります。

換気設計に沿ってしっかり換気したい人は、ダクトで換気システムをつなぐ全般換気がおすすめです

【換気システムについて詳しくはコチラ】24時間換気マスターへの道!換気の種類をおさらいしよう

1種換気のメリット・デメリット

第1種換気換気システムは機械で給排気するため、換気の計画性が高く、室内の圧力差が安定するのが特徴です。

第1種換気 第1種熱交換型換気

機械で給排気する第1種換気は、熱交換器を付けることで排気する空気から8割程度の熱を回収し、給気する空気に戻すことができます。

例えば、20℃の熱を排気した場合、16℃は室内に戻ってきます。そのため、冬でも冷たい空気を室内に入れることなく、室温を一定に保つことが可能です。換気によって室温が変わることがないため、冷暖房費も安くおさえることができます。

しかし、給排気を機械で行うため、設置費用や運転した際の電気代が高く、メンテナンス頻度が多いといったデメリットもあります。また熱交換型の場合、熱を回収する際にホルムアルデヒドなどの化学物質も一緒に回収してしまい、リターンする可能性があるとも考えられています。

3種換気のメリット・デメリット

排気のみ機械で行う第3種換気システムは、24時間換気として最も多く利用されている換気システムです。

第3種換気

機械を設置するのが排気のみなので、第1種換気と比べて設置費用や運転にかかる電気代が安く、運転音が静かというメリットがあります。

メンテナンスも楽になるため、掃除やこまめな手入れが頻繁にできない人にもおすすめです。

一方で、給気口からの冷気が寒かったり、各部屋に給気口などが付くため外部フードが増え外観デザインに少し影響が出るなどのデメリットがあります。

第1種換気、第3種換気どちらにもメリット・デメリットがありますので、よく家族で相談して決めるようにしてみてください。

24時間換気システムを正しく運転させるために必要な3つのこと

24時間換気システムは設置すればシックハウスにならないわけではありません。

換気の原則は「常に出入口を明確にし、必要な換気をすること」です。これを満たし、24時間換気システムを正しく運転させるには必要なことがあります。

期的な掃除やメンテナンス

0.5回/h以上しっかり換気できる24時間換気システムを使っていても、定期的な掃除やメンテナンスを怠ると大幅に換気量が落ちるだけではなく、フィルターなどを通して汚れた空気を室内に拡散することになります。

下の写真は入居後に一切、掃除やメンテナンスをしなかった24時間換気システムの例です。

掃除・メンテナンス不足な24時間換気システム

左の写真は入居後、約10年間掃除をしなかった局所換気です。換気扇には、油分がホコリと絡みフィルターが外せないほど汚れきっていました。

本来の換気量は72㎥/hでしたが、実際の換気量は0㎥/h。稼働ランプこそついていますが、実際には換気扇の前に手を当てても、空気の動きを感じることはありませんでした。

右の写真は、更に掃除されなかった第1種熱交換型換気です。この第1種換気は、素人では取り出せないような場所に設計がされており、約20年間掃除やメンテナンスされていません

右下の熱交換素子は、至るところにカビとホコリが付着しており、換気システムにつながるダクトにはカビやホコリだけではなく、クモの巣ができてしまっていて、とても換気しているようには見えない状況でした。

掃除やメンテナンス頻度は、住む場所やシステムの種類、メーカーによって変わってきますので、設置する際に必ずメーカーや工務店などに確認するようにしましょう。 

き渡し前の換気量測定

換気量測定

必要換気量を計算し、それを満たせる24時間換気システムを設置しても、実際に必要換気量を換気してくれるかは測定してみなければわかりません。そのため、引き渡し前には必ず「換気量測定」を行ってください。

実際に引き渡し前の現場で換気量調査を行ってみると、稀に工事の過程でダクトが外れてしまったり、釘などがダクトに当たり穴が空いたりして、換気量が0㎥/hということもありました。

工事の過程では、丁寧に施工していてもそのようなことが起こります。引き渡し前に気付かないと、ずっと0㎥/hのまま何年も放置されてしまう可能性もゼロではありません。

その他にも、換気はできているもののダクトの潰れやダクトが折れ曲り、計測してみたら0.5回/h以下というケースもあります。

引き渡し前であればすぐに直すことができるため、必ず換気量を測定し0.5回/h以上の換気が行えているか、自分の目で確認してください

間と引き渡し前の気密測定

気密測定

換気と気密は非常に深い関係があり、高気密であればあるほど換気設計にそった換気を実現できます。

なので、家づくりの際には換気量を測定してもらうだけではなく、中間と引き渡し前に気密測定をしてもらい、住宅の気密性能を高めることが重要です。

実際に、気密性能によってどの程度、換気に影響が出るのでしょうか。下のグラフでは、気密性能と給気口からの給気量の割合についてまとめたグラフになります。C値とは家の相当隙間面積を表し、0㎠/㎡に近づくほどスキマの少ない気密性能のよい家といえます。

気密と換気の関係性

気密性能の悪い家(C値5.0㎠/㎡)では、17%程度しか給気口から入らず、残りの83%がスキマから入った空気となっています。

スキマ風でも換気できていればいいのではないかと思ってしまう人もいますが、スキマ風と自然給気口から入る空気はまったくの別物です。

スキマには自然給気口と違いフィルターがないので、花粉やホコリ、砂など様々な汚れを含んだ空気が直接入ってきます

また、スキマは換気経路を考えてできるわけではないため、給排気口のすぐ近くにできてしまうこともあります。

【スキマ風換気について詳しくはコチラ】気密不足によるスキマ風も結局新鮮空気じゃないの?【Q&A】


換気経路を通り家中に新鮮な空気を入れるには、第1種換気システムを使う場合でも第3種換気システムを使う場合でも、気密性能が重要です

まずは、C値1.0㎠/㎡を目指してみてください

とめ

空気は目に見えない分、汚れていても気付けません。知らない内にシックハウスやアレルギーにならないためにも、24時間換気は止めず常に運転させることが重要です。

また、24時間換気を選ぶ際には、ぜひハウスメーカーや工務店に

「換気のメンテナンスは簡単ですか?」

「引き渡し前に換気量測定して0.5回/hを確認してもらえますか?」

「モーター交換の際にかかる修繕費はいくらですか?」

と質問をしてみてください。

その上で、自分の希望する住まい方(メンテナンスを少なくしたい、できるだけ冷気をいれたくない、など)を実現できる24時間換気システムを探しましょう。

【1分でわかる】
よくある?換気の不具合事例!あなたの家の換気が効かない理由
 



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