【大手ハウスメーカー】そんな住まいで大丈夫か?欠陥住宅に学ぶ家づくり
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こんにちは、日本住環境 広報部(イエのサプリ編集部)です。
このブログでは良い家づくりに必要な情報を丁寧に解説していきます。
これから家を建てたいと考えている一般の方はもちろん、実際に家づくりに携わっている方にも「タメ」になる情報をお届けします。
「屋根から大量に雨漏りしている」
「壁やクローゼットの隅に大量のカビが発生した」
「本来あるべきところにビスがない!地震が起きたら倒壊してしまう」
住む人の健康や安全を脅かす欠陥住宅。大手ハウスメーカーによる違法建築でショックを受けた人も多いのではないでしょうか。
違法建築が次々発覚する中、戸建住宅でも欠陥住宅被害は後を絶ちません。公益財団法人である住まいるダイヤルが発表した統計では、新築での相談19,872件に対し家に不具合が生じているという相談は10,064件と発表しています(参考:住宅相談統計年報2021)。
家を建てる際、間取りやデザイン、住宅性能、24時間換気など様々なことを考えていきますが、欠陥住宅を建てないためにどうすればいいのかについても考えなければいけません。
今回、実際にある築10年で住めなくなった欠陥住宅で起きた家の不具合や欠陥住宅を建てないための工務店、ハウスメーカーの選び方などについて紹介していきます。
目次 [表示させる]
欠陥住宅とは?
欠陥住宅とは、建築基準法など家を建てる際に守るべき法律や基準に違反している住宅はもちろん、本来住宅が持つべき安全性を欠いている住宅も含まれます。
安全性とは住む人の命や健康、財産を害さないことを意味し、裁判では実際に害していることに加え、将来的に害をなす危険性のある家も欠陥住宅として損害賠償請求を認めました。
具体的な例では、基礎のズレなど構造上の安全性や耐火性、耐震性の欠けている家、有害物質などによりシックハウス症候群を発症するリスクが高い家が挙げられます。
ただし、シックハウス症候群の原因をつくる家のスキマや断熱欠損などは、程度によって欠陥住宅とは言えないこともあります。
築10年で住むのが困難になった欠陥住宅の事例
今回、築10年で住む人にシックハウス症候群を引き起こし、住み続けるのが難しくなった欠陥住宅の住宅性能を検証してきました。
家の中でどのようなトラブルが発生していたのか、欠陥住宅ではどのような不具合が出るのかについて紹介します。
テープ処理なし!家中から発生する大量のスキマ風
家の気密性能はC値(相当隙間面積)で表され、一般的にC値1.0㎠/㎡以下の家を高気密住宅と呼びます。
この家のC値はなんと3.3㎠/㎡。
気密をとりやすい2×4工法で建てられ、厚さ0.2㎜の質の高い気密シートを使用しているにも関わらず、非常に気密性能の悪い家となっています。
なぜこんなに気密性能が悪いのか、原因は小屋裏で見つかりました。
画像にある黄色いシートはすべて気密シートです。ただ、どこもシートがたるんでいる上に、シートとシート、シートと柱などのつなぎ目にスキマができてしまっています。
本来であれば、シートはたるみをつくらないように張った上で、シートと接合する部分はすべて気密テープなどにより、連続させなければいけません。
また、場所によってはカッターなどを使用せず引きちぎったようなところもありました。
▲ひきちぎられたような切り口。テープ処置も一切されていない…。
このような処理では、どんなによい部材を使用していても、機能を発揮できません。
実際にどれくらいスキマ風が発生しているのか、フォグマシーンという煙を出す機械を使用して検証してみました。
コンセントボックスやダウンライトからはもちろん、洗面台の下は真っ白になるほど大量の煙が入りこんでいるのがわかります。
スキマ風が多いと家の室温を保てなくなるだけではなく、換気経路を狂わせたり結露ができやすくなったり様々な不具合を引き起こします。
浴室の基礎断熱欠損による寒くカビだらけのお風呂
床断熱の家でもお風呂だけ基礎断熱を使用するケースがありますが、その際に注意しなければいけないのは配管まわりです。
本来塞がなくてはいけない場所ですが、処理が甘く大きなスキマが残ってしまっている家も多くあります。
この家でも配管まわりの処理があまく、大きなスキマがあいていました。
人通口があいたままだとスキマ風が入り込み寒いお風呂になるのはもちろん、掃除してもカビのできやすい家になります。
必要換気量が半分程度しかとれない24時間換気
どのような住宅でも、設計時には必要換気量をとるために換気設計を行います。ただし、設計による換気量と実測値が必ずしも同じとは限りません。
スキマにより給気口からの給気量が0㎥/hに
例えばこの家には和室とリビングにそれぞれ給気口がありますが、実はどちらからも給気しておらず、給気量は0㎥/h。
給気しないのは、浴室や洗面所にある大きなスキマが原因です。
本来であれば和室やリビングで給気するはずの給気量をお風呂場のスキマがまかなってしまうため、給気口から空気が入れなくなっています。
設計ミスとメンテナンス不足で換気量が大幅に減少
この家には4つの換気扇があり、それぞれ49㎥/h排気し合計で196㎥/h換気できる設計となっています。
しかし、測定したところ49㎥/h換気できているところは1つもありませんでした。
なぜこのような換気量になってしまったのでしょうか。
詳しくみていくと、8㎥/hしか換気できていない2階のトイレはダクティングに問題がありました。
トイレから伸びるこの換気扇は、本来階段側まで伸ばすのではなくトイレから最も近い場所で排気する必要があります。ただ、そういった設計ができずダクトを伸ばしているのですが、ダクトが長すぎたのか途中でとぐろを巻いている状況でした。
ダクトは曲がる部分が多いと圧力がかかり換気量が大幅に下がってしまうため、設計通りの換気量がとれない原因になります。
ダクティング以外にも、設計通り換気させるためにはメンテナンスが欠かせません。
換気量が0㎥/hだった洗面所の換気扇は、実は10年間一度もメンテナンスしていないそうです。
給気口のシャッターには油分とホコリが混ざって蓄積し、フィルターが取り出せないほど汚れきっていました。
スイッチを入れると稼動ランプが点灯するものの、計測してみるとまったく動いていません。
空気が逃げ場を失い、スキマからの空気の出入りを助長することにつながります。
必要換気量131.8㎥/hに対し72㎥/hしか換気できない家には、メンテナンス不足とダクティングという2つの原因がありました。
家の至るところにカビが大量発生
気密が悪く換気も正しく稼働しない、だけど断熱性能は高い。
このような家では、発生した水蒸気がスキマ風によって冷やされた壁などで結露するため、カビが発生しやすい環境をつくってしまいます。
実際にこの家では、和室から子供部屋、押入れなど至るところに大量のカビが発生していました。
特に和室はカビがひどく悪臭が漂っていて、検証のために部屋に入りしばらくすると頭痛や体調不良になるほどでした。
▲壁に大量のカビ(黒く汚れている部分)が発生。何もしていないのに壁や床が結露で濡れる状態。
和室は畳を敷く分、他の床と比べ下地が低くつくられます。しっかり気密処理していない家では、その段差からスキマ風が入り込んでしまうため、他の部屋より結露やカビができやすくなってしまうのです。
この他にも大量のスキマ風が入りこんでいたコンセントまわりは特にカビがひどく、何もしていないのに壁が濡れてしまっています。
虫や小動物の侵入・営巣
正常に稼動している24時間換気であれば、常に一定の風力を持って空気が外へ流れるので、虫や小動物が風に逆らって侵入したり営巣することはありません。
しかし、稼動していない24時間換気では、暖かい室内の空気が緩やかに漏れ出ることで、虫や小動物が寄り付きやすい場所になります。
検証した欠陥住宅では、小屋裏にハチの死骸が大量に落ちていました。
小屋裏に巣が無かったので、稼動していない予備換気のガラリを確認してみたところ、ガラリの中にアシナガバチの巣を発見。
このように知らない間に巣ができてしまったり、ダクトを通って家の中に浸入し小屋裏で営巣したりすることもあります。
毒を持つハチなどの営巣は大変危険です。
この家のような網付きのガラリは、目詰まりや虫や小動物の営巣しやすくするため、工務店からおすすめされてもメンテナンスできないような場所には設置しないことをおすすめします。
デザイン性を優先しメンテナンスできない天窓
開放感がありおしゃれな天窓に憧れを持つ人も多いかと思います。天窓を設置する際は、メンテナンスすることを考え位置を決めなければいけません。
この家では、足場の悪い階段の上に天窓が設置されていました。
上から日差しが入り、おしゃれで開放感はありますが、階段なので脚立も置きづらくメンテナンスの難しい位置です。
そのため、窓やその周辺が結露しても拭くことができず、天窓のまわりにカビが生えてしまっています。
デザインだけではなく、メンテナンスができるかどうかをよく考えないと、家の不具合を招く原因になってしまいます。
欠陥住宅を建てた・購入した場合の相談先
引き渡し後に、欠陥住宅だったことが判明した場合、どこに相談すればいいのでしょうか。
まず施工した工務店・ハウスメーカーに相談
家の欠陥が見つかった場合、自分で修復する前にまず家を建てた工務店やハウスメーカーに相談しましょう。
勝手に手を加えてしまうと、保証対象から外れてしまう可能性があるので、必ず何かする前に相談することが大切です。
ここで注意したいのは、欠陥と保証範囲は必ずしも一致しません。例えば、雨漏りは保証範囲内になっても、結露や結露によるカビは保証の範囲を外れている場合もあります。
そのため、杜撰な施工による不具合でも、保証対象外だから費用が発生しますと言われることもあります。相談前に、あらかじめ契約書の保証について確認しておきましょう。
解決しない場合は住まいるダイヤルに相談
被害は大きいのに、工務店やハウスメーカーが納得のいく対応をしてくれなかったり、無料で補修工事を行うと言われたものの、完了後に追加費用を請求されたなどの金銭トラブルが発生することがあります。
工務店やハウスメーカーとの間でトラブルが発生した場合は、国土交通大臣指定の相談窓口である「住まいるダイヤル(#0570-016-100)」に相談してみましょう。
電話によるアドバイスの他、弁護士と建築士が同席してくれる専門家相談を受けることが可能です。これにより、今後どう住んでいけばいいのか、本当に工務店やハウスメーカーのミスではないのかなどについて専門家の意見を聞くことができます。
また、既に工務店やハウスメーカーとトラブルになっていたり、話し合いがまとまらなかったりする場合には、受託紛争審査会による裁判外での紛争解決手続をあっせんが受けられます。
これは話し合いにより問題解決を目指す手続きで、金銭の要求は難しいですが裁判より簡単な手続きで開始できます。この他にも状況にあった解決方法を提案してもらえるので、トラブルがあり相談先に迷った場合は住まいるダイヤルに相談してみてください。
損害賠償請求については弁護士へ相談
ひどい家を建てた責任を取ってほしい、費用の返還を求めたいという人は、弁護士に損害賠償請求について相談してみましょう。
欠陥住宅を引き渡され、修復費用や引っ越し費用など発生した損害に対し損害賠償請求できる可能性があります。
損害賠償請求が認められる欠陥とは、住居者の生命や身体、財産を危険にさらす瑕疵や、現在危険は発生していないものの放置することで、危険が実現化するような瑕疵と考えられています。
ただし、家の不具合が出ても実際に損害賠償が請求できるかは、被害状況や経緯によって変わってきます。請求できるかどうかの判断は、欠陥住宅問題を取り扱っている弁護士に相談してみてください。
欠陥住宅を回避する工務店・ハウスメーカー選びのポイント
検証で紹介した家は、サッシが木製サッシでガラスも断熱性能の高いLow-Eガラスを使用している断熱性能の高い住宅でした。
断熱性能が高いのに、10年間でここまでひどい不具合が出た原因は、気密性能の低さと換気が正常に稼動しなかったからです。
欠陥住宅を建てないようにするには、気密性能が高く換気が正常に稼動している家を建てる必要があります。
しかし、気密性能や換気が稼動しているかは実際に家を建ててみないと、確認することができません。
そのため、契約前にC値1.0㎠/㎡以下の住宅を建てること、気密測定をすることを書面上で約束できる工務店やハウスメーカーを選んでください。
また、換気についても引き渡し前に換気量の測定を行ってもらいましょう。書面上で約束さえしておけば、最終的にできた家がひどい数値でも無料で修復を依頼できます。
気密に関しては、工務店やハウスメーカーによって考え方が違います。「気密は必要ない」という会社から「0.5㎠/㎡以下を約束します」という会社まで様々です。
5.0㎠/㎡でも大丈夫、スキマは換気のために開けておいた方がいいという言葉を鵜呑みにしてしまうと、結露が大量に発生する不具合の多い住宅ができあがる可能性があります。
セールストークに惑わされず、まずは数値で示してくれる工務店を選ぶことをおすすめします。
ちょっとした工務店、ハウスメーカー選びの失敗から、欠陥住宅ができてしまい、金銭面でも健康面でも大きな被害を受けることになります。
家の不具合が出た場合、まずは工務店やハウスメーカーに相談してください。中には対応してくれなかったり、明らかに施工ミスなのに修復工事に高額な費用を請求されるケースもあります。対応に困った場合は、住まいるダイヤルなどの相談窓口へ相談してください。
欠陥住宅を建てないためにも、工務店やハウスメーカーと契約する前は必ずC値を確認し、書面上でC値や気密測定について約束するようにしましょう。
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