【ローコストの闇】1400万の注文住宅を丸裸にしてみたin長野
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こんにちは、日本住環境 広報部(イエのサプリ編集部)です。
このブログでは良い家づくりに必要な情報を丁寧に解説していきます。
これから家を建てたいと考えている一般の方はもちろん、実際に家づくりに携わっている方にも「タメ」になる情報をお届けします。
家を建てる際、「吹き付け屋根断熱なら高気密になりますよ」と営業からおすすめされたという話をよく耳にします。
吹き付け断熱は気密が取りやすい部材ですが「吹き付けだから高気密」と考えるのは危険です。
今回イエのサプリ編集部では、6年前に建てた長野県にある吹き付け屋根断熱のローコスト住宅の性能を調査しました。冬には息が白くなることもあり、電気代が最大で4万円近くまでかかるというこの住宅。
正しい屋根断熱の気密測定方法とあわせて、高気密住宅を作る際のポイントを紹介します。
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屋根断熱における正しい気密測定の方法
一般的に住宅の気密測定では、小屋裏へと続く点検口は閉めた状態で計測を行います。
ただし屋根断熱の場合、小屋裏も室内になるためJIS基準では屋根断熱を採用する家の気密測定において点検口を開けたまま測定するのが決まりです。
実際に点検口を閉めて計測するのと、点検口を開けたまま点検するのでは、C値に大きな差が出ます。
▼点検口を閉じて計測(左)、点検口を開けて計測(右)
長野のローコスト住宅で計測したところ、点検口を閉じている時と開けている時では、C値に0.6㎠/㎡の差が出る結果となりました。
そのため、屋根断熱の家で中間気密測定や完成気密測定をする際、点検口を開けて計測したかを確認するようにしましょう。
「吹き付け屋根断熱なら高気密」には注意が必要!
家を建てる際には「吹き付け(発泡ウレタン断熱材)を使った屋根断熱は高気密になる」という言葉に注意が必要です。
ここでは、吹き付け屋根断熱が高気密と言われる理由や吹き付け屋根断熱で高気密住宅を作る際のポイントを紹介します。
「吹き付け屋根断熱なら高気密」と言われる理由
吹き付け屋根断熱なら高気密と言われる理由は、発泡ウレタンを使った吹き付け断熱も屋根断熱も他の断熱材や工法より気密が取りやすいからです。
吹き付け(発泡ウレタン)断熱は、建材の間にスキマなく充填しやすく、テープで処理する必要もありません。また、屋根断熱は文字通り屋根で断熱気密を取るため、配線や配管などの貫通部分にスキマができにくい工法です。
ただ、あくまで気密が取りやすいだけで、施工に不慣れだったり吹き忘れがあるとスキマができ、C値2.0㎠/㎡を上回る低気密住宅になる事例もあります。
断熱材や工法以上に、相談先のハウスメーカーや工務店が今まで建てた家のC値にこだわることが高気密住宅を作る第一歩となります。
▼天井の屋根の気密断熱工法や断熱材について詳しく解説中
【NJKブログ】【天井の断熱気密編】構造見学会で見るべき6つのチェックポイント
【NJKブログ】高気密住宅に適した断熱材とは?壁面の断熱気密のポイントを解説!
吹き付け屋根断熱で高気密住宅を作る際のポイント
吹き付け屋根断熱でスキマができやすいのは、壁と屋根の取り合い部分です。

吹き付けが甘いと、画像のように断熱気密欠損ができてしまいます。
また、吹き付け断熱は吹いた後に膨らむ性質があるので、手前側から吹き付けてしまうと奥にスキマが残ります。
今回の検証で見つけた穴を調査すると、かなり奥までスキマ空間が残っていることがわかりました。
ただ、このようなスキマは一見しただけでは判別がつきにくいので、家を建てる際は中間気密測定や完成気密測定でC値を確認し家にスキマがないかをチェックしましょう。
屋根断熱以外でも注意すべき気密のポイント
屋根断熱が完璧でも他の部分に気密欠損があれば高気密住宅にはなりません。ここでは、今回の調査結果を参考に注意すべき気密のポイントを紹介します。
巾木は床と壁の取り合いになるため、適切な気密処理がされていないと大きなスキマになり家中に冷気が流れ込みます。
このようなスキマを作らないためには、気流止めをして気密層と断熱層を連続させることが重要です。気流止めのポイントについては以下の記事で詳しく解説中です。
▼気流止めのいい例・悪い例を紹介!
【NJKブログ】気流止め|高気密高断熱住宅で最重要なポイントを解説
玄関・玄関付きポスト
玄関は外気に直接触れる部分なので、断熱性能が高く閉めた時にしっかり密閉できるようになっていないと、ドア全体が断熱気密欠損箇になってしまうリスクがあります。
玄関だけではなく勝手口なども断熱欠損箇所になりやすいため、不要な方はおすすめされても付けない方が暖かい家を作りやすくなります。
また、玄関ポストも玄関を寒くする大きな原因のひとつです。
強いこだわりがなければ、ポストは外付けで独立させることをおすすめします。
▼この他、玄関を寒くする原因・仕様はこちら
玄関のシューズボックス
玄関のシューズボックスは、クロスやボードを貼る前に設置することが多いため、基礎の気密パッキンの施工が甘いと大量のスキマ風が侵入します。
玄関が寒い家ではシューズボックスの下に手を当ててみましょう。もし、スキマ風を感じるようであれば気密テープなどで侵入を止める処理が必要です。
窓のサッシ
玄関と同様に外気に触れる窓の性能や種類、数も高気密住宅を作る上では重要です。
窓に開閉機能を付けるとそれだけでスキマができやすくなるので、採光が目的で開ける必要のない窓ははめ殺しにしてスキマができないようにするのもおすすめです。
▼窓周りの気密と高気密住宅におすすめのサッシ選びを解説
お風呂の基礎と土台の連結部分
風呂場だけ基礎断熱にしている家では人通口などにスキマができやすく、大きなスキマができることもあります。
今回調査した住宅では人通口に対しては正しい気密処理が施されていましたが、基礎と土台を連結する金物の周りは気密処理されていなく、断熱外皮である洗面所の床下空間とつながり外気が侵入していました。
お風呂場のみ基礎断熱にするのであれば人通口以外にもスキマがないかをチェックしていきましょう。
▼寒いお風呂場を作らないためにはこちら
今回調査した住宅では「吹き付け屋根断熱なら高気密」と言われ安心して建てた結果、寒い家になってしまったケースです。
施主が床下のスキマを発泡ウレタンで塞いだりLow-Eペアガラスを追加で内窓に付けるなどのリカバリーをしていました。内窓の設置は、寒さ緩和に大きな効果があったとのこと。
最初から高気密住宅を作るには、断熱工法に応じた正しい計測方法で中間気密測定・完成気密測定を行い、しっかりと高気密住宅になっているかチェックするようにしましょう。