【大手ハウスメーカー】2×4工法の住宅を丸裸にしてみた
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こんにちは、日本住環境 広報部(イエのサプリ編集部)です。
このブログでは良い家づくりに必要な情報を丁寧に解説していきます。
これから家を建てたいと考えている一般の方はもちろん、実際に家づくりに携わっている方にも「タメ」になる情報をお届けします。
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今回、イエのサプリ編集部が訪問したのは、ツーバイフォー工法(2×4工法)で建てられたKさんの住宅です。
ツーバイフォー工法は、優れた耐震性の他、気密性が取りやすいことも特徴で、近年では多くの住宅に採用されています。
しかし、K邸では、住み始めてからいくつかの住宅性能に関する不安が浮かび上がってきたようです。
具体的には、夏場にパントリー室の気温が異常に高くなり、冬には暖房をつけない状態だと朝方の気温が12度程度まで下がってしまうという問題が発生していました。
K邸の気密性や断熱性になにかしら問題があるのでしょうか?住宅性能やスキマを徹底調査しました。
【解説】気密性能は改善できる?今からできる対策を紹介!

イエのサプリ編集部では、C値1.0㎠/㎡以下を高気密住宅の目安としています。
しかしK邸の気密測定ではC値1.2㎠/㎡という結果が出てしまいました。
この数値から見て取れるように、気密性には若干の改善の余地があり、住宅内でも埋められそうなスキマがまだまだ残っているようです。
では、どのような対策を施せば、これらの問題を解決できるのでしょうか?以下で具体的な対策やリカバリーポイントを紹介していきます。
※リカバリーを行う際は、必ず専門家に相談し、自己責任で実施してください。イエのサプリ編集部はリカバリーを推奨しているわけではありません。
【対策①】分電盤を気密タイプに交換する


まず、K邸で夏にパントリー室の気温が非常に高くなってしまっていた原因として、分電盤から外気が大量に流入していることがわかりました。
ハウスメーカーに調査を依頼した結果、分電盤が気密タイプではなかったため、外気が室内に入り込んでいたことが明らかになったのです。
これにより、パントリー室の温度が上昇していました。
そこで、分電盤を気密タイプに交換したところ、外気の流入がなくなり、パントリー室の温度上昇も抑えられたとのことです。

※画像は取り付けイメージ
また、分電盤周辺にはCD管が多く集中しているため、CD管のスキマが未処理だと大量のスキマ風が流入してしまいます。
CD管のスキマは気密テープを巻くと後から抜けなくなってしまうトラブルもあります。
建築中であれば配線部分に厚物のパッキンを巻いて入れることで、後からでも取り外しがしやすく気密性もしっかりとれるのでおすすめです。
※分電盤内の改修は国家資格が必要です。火災や感電の危険があるため補修する際は必ずハウスメーカーや専門の業者に依頼してください。
【対策②】お風呂や脱衣所のスキマを埋める

床断熱を採用しているK邸で床下にフォグを入れて検証(白い煙を充満させた後に負圧でスキマを見つける試験)したところ、ダウンライトからスキマ風を確認できました。
この原因はお風呂場の気密処理の方法にあることがわかりました。
お風呂場は気密欠損が起こりやすい場所のため、そこからスキマ風が家中に届けば住宅全体の気密性を損なう原因にもなってしまいます。
お風呂場の断熱・気密施工には、浴槽と壁の間にあるスキマをテープやパッキンなどで連続させる「気流止め」という方法と、お風呂場だけ「基礎断熱」にする方法の2種類があります。

K邸では図の左側の気流止めによる方法が採用されていました。
気流止めも断熱・気密の方法としては問題ない工法ですが、浴槽と壁のスキマは40~50㎜程度の幅があり、気密材を詰めても小さなスキマができやすい箇所です。

K邸のお風呂場の気流止めも配管周りに若干のスキマが残ってしまっていました。

さらに断熱材のスキマも見られたため、これらのスキマを1液の発泡ウレタンや気密テープで処理することでスキマ風は改善しそうです。
お風呂場の気密欠損については下記のブログも参考にしてみてください。
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【対策③】窓の遮熱対策を行う
窓は、熱伝導率が高く、室内の温度に大きな影響を与える部分です。特にアルミ製のサッシは、樹脂サッシに比べて熱を伝えやすいため、注意が必要です。
例えばK邸の南と西の窓では、日中に熱を吸収し室内の温度が上昇することが問題でした。

熱画像カメラでベランダの庇のある部分と庇のない部分を比較したところ、
10度以上の温度差が確認され、庇のない部分は非常に高温になっていたことがわかりました。

窓の遮熱対策としては、外付けの簾(すだれ)や日除けを設置することが有効です。
これにより、窓から入る熱を軽減することができ、室内温度をより快適に保つことができます。
ツーバイフォー工法は、高断熱高気密にしやすく性能面でも優秀な工法です。
しかし、あくまで気密がとりやすいだけで、最終的に高気密になるか低気密になるかはハウスメーカーや工務店の技術次第ということを忘れないようにしましょう。
ハウスメーカーや工務店を選ぶ際はツーバイフォー工法の施工経験を確認し、契約前に必ずC値や気密測定の実施について約束することが大切です。
ツーバイフォー工法に関する詳しい情報については、以下のブログも参考にしてみてください。
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気密性能の重要性についてもっと学びたい方はこちら
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